感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鈴木貴博
2
法然上人はその教えの画期性、後世への多大な影響に比して、著作といえるものは選択本願念仏集、一枚起請文ほか少数であり、その思想を伝えるものとしては上人の話を聴いた弟子等が書き記した対話・問答集の比重が大きい。上巻は師、弟子、様々な立場の僧侶との問答を中心に扱う。問答を通し、その教えのみでなく、人柄、人間関係、時代の空気まで生き生きと伝わる。2019/09/13
koz
2
法然については浄土宗の開祖、他力本願で有名であるがその在命中、天台のお膝元にして数多の仏閣寺院を抱える平安京に於いて如何にして月卿雲客を帰依させるほどの力を持ったのか。本書では決定的とも云える1186大原問答の元となった天台座主顕真との対話をはじめ数々の問答を紹介する。自身を凡夫「まことにこの身は道心のなき事と やまいばかりや」とした法然は「解脱し成仏」から「念仏し往生」の転換のなか寛容に、学僧碩学には厳格に相対している。式子内親王、「敦盛」熊谷次郎直実の帰依を通し文学、信長のドラマまでが連なる歴史を想う2013/08/21