感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
210
著者の高橋義人氏はドイツ文学者。また、本書はラジオの教養講座のテキストとして書かれているために、とても解りやすくグリム童話を巡る諸問題が解説されている。グリム童話は周知のように創作童話ではなく、グリム兄弟がドイツの各地から収集した民話集である。したがって、伝統的には文献学者や民俗学者が扱ってきたが、近年では心理学者たちも、お伽話の深層に潜む心理を解き明かすものとして研究対象にしてきた。ここでは、心理学そのものには踏み込まないが、伝承の背後にある抑圧された思想を類話等を手掛かりに読み解いてゆく。2015/05/18
neimu
5
心理学的に解釈されたものはたくさん読んできたけれど、久しくそういうものから離れていたし、最近NHKではこの手の講座も減ってきて、おまけにこの本によると若者世代はゲームに夢中でオリジナルの神話や伝説は愚か、昔話やメルヘンなど見向きもしなくなっているらしいし・・・。びっくり。とにかく、秋の1日、余り動けないのでこれを読んでラジオを聞く生活に入る秋です。2012/10/07
きびたき
3
民話を始めとするメルヘンは、描写がシンプルなだけに、深読みをしようとすればいくらでもできてしまう危うさがある。そもそも、時代性や国民性などさまざまな無意識が反映されるメルヘンにおいて、例えば「この老婆は何々の象徴」とはっきり一つに決められるケースは稀なのではないだろうか。それでも、著者の論は興味深いし、キリスト教以前の古代ゲルマン信仰について知ることができ、面白かった。2015/01/24
イリエ
2
メルヘンと小説はどう違うか。どうしてグリム童話はここまで変化してのか。ヨーロッパの歴史や風習などからその謎に迫る。2012/12/27
よし
1
「赤ずきん」や「シンデレラ」などのグリム童話がドイツに伝わる民話を集めてきた本だとは知りませんでした。この本はグリム童話の元となった民話の由来を追った本。NHKのラジオテキスト(放送を聞くことはできませんでしたが)ながらかなり充実した内容で、ヨーロッパの伝承や宗教、それぞれのエピソードに隠された意味など楽しむことができました。近い将来、新書になるかもしれませんね。 2013/01/30
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- 野菜だより2014年11月号