出版社内容情報
辺境の地から現れた謎の戦士集団――彼らは一千年の都を滅ぼし、新時代の幕を開いた。
オスマン帝国は、なぜビザンツ帝国を滅ぼすことができたのか? 世界の今を解くカギは、すべて歴史の中にある――。誰もが一度は耳にしたことがある「歴史的事件」と、誰もが疑問を抱く一つの「問い」を軸に、各国史の第一人者が過去と現在をつないで未来を見通すシリーズの第8弾! 一千年の長きにわたって君臨したビザンツ帝国の崩壊と、そこから続くオスマン帝国の興隆は、キリスト教とイスラム教という二つの文明が交錯する、その転換点であると共に、新時代へと移行する歴史の分岐点でもあった。稀代の征服者メフメト2世がもたらした一大事件の世界史的意義について考える。
[事件の全容]
第1章 メフメト二世は、いかにしてコンスタンティノープルを陥落させたのか?
[歴史的・宗教的背景]
第2章 辺境に登場した戦士集団は、宗教的混淆のなかから台頭した
[同時代へのインパクト]
第3章 メフメト二世は、オスマン帝国の礎をいかに築き上げたか?
[後世への影響]
第4章 オスマン帝国は、なぜ六百年も存続したのか?
1 ~ 1件/全1件
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
118
メフメト2世、小説の主人公にぜひ。(もうあるのだろうか?)2025/03/05
まーくん
76
オスマン帝国によるコンスタンティノプール征服は「中世」を終わらせた事件であると、かつて評されていたが、現在の研究者は1453年の征服そのものが、直ちにルネサンスや大航海時代の原動力になったとは見なさず、このような考え方は西洋中心的な史観であるとされている。しかしながらビサンンツ文明という一つの世界の終焉をもたらした、この街の征服は世界史上の大事件には違いない。本書では「征服王」メフメト二世がオスマン帝国というイスラム史上最強であった帝国の礎をいかに築き上げ、新たな世界を切り開いていったかを論じている。⇒ 2025/06/11
サアベドラ
31
メフメト2世のコンスタンティノープル征服の背景と後世の影響を平易に解説したリブレット。2024年刊。著者の近刊である中公新書の通史と多くの部分で内容が重複している。アナトリア北西部の信仰戦士集団に起源を持つオスマン侯国は征服以前からバルカンに進出しており、ビザンツはすでに属国のような存在だった。東ローマ帝国滅亡を中世の終焉と結びつける見方は著者が言うようにあまりに西洋的歴史観であり、なにより主役のはずのオスマン朝の視点が欠如しているが、皮肉にもオスマン側の同時代史料ではそこまで評価されていなかったという。2025/05/23
よっち
26
オスマン帝国はなぜビザンツ帝国を滅ぼすことができたのか。稀代の征服者メフメト2世がもたらした一大事件の世界史的意義について考える1冊。コンスタンティノープルを陥落させたメフメト2世が皇帝に即位した背景から陥落に至る経緯、オスマン帝国はどのように台頭していったのか、メフメト2世たちはいかに帝国の礎を築き上げたのか。コンスタンティノープルも往時とは比べるべくもなく、当時は思っていたほど歴史的意義を見出されていなかったそれが、後世になって帝国が中央集権化を進める契機として再評価されていったのは興味深かったです。2024/12/22
ピオリーヌ
20
2024年の刊。この「世界史のリテラシー」シリーズ、最近刊行が始まったが150頁程度の薄さ。「世界史リブレット」のようなボリューム感で大変読みやすい。ビザンツ帝国の滅亡によりその文化と社会が決定的に縮小したこと、メフメト二世の治世が、ムスリムとキリスト教徒が混在した混沌とした集団からオスマン帝国をよりイスラム的な国家へとととのえていく政策をとり、帝国がイスラム国家として成熟していったこと、この二つが重大な転換点であり、コンスタンティノープル征服と、それに続くメフメト二世の治世は、「ふたつの文明が交錯する 2025/04/21