出版社内容情報
人と人との距離感が変わりつつある現代では、誰もが多くの「傷つき」を経験する。自分と他者はなぜ傷つき合い、それはどのように癒やせるのか。トラウマ研究の第一人者が現代に特有の「傷つき」の背景を分析しながら、数十年培ってきた専門的知識を初めて私たちの日常生活に落とし込んで解説。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あまね
14
生きていれば、傷つき傷つけてしまうことは避けられない。その傷を携えながら日々を過ごすための処方箋のようなあたたかい本でした。『傷つき』から、人間の弱さに気づき、優しさや柔軟性、寛容性を育むとのこと。本書の中で宮地先生がご提案されているように、自分を癒しながら傷をなだめていきたいと思いました。2025/09/07
スイ
14
大好きな『ははがうまれる』の宮地さん。 この本は短く読みやすいことが優先のシリーズのものなので、もうちょっと深くまで読みたい、とも思うのだけど、じっくり読む余裕もない状況の人も手に取りやすいのも大事。 イラストもほのぼのしていて、温かな筆致に合っていて良かった。 2025/05/01
settar
12
ハーマンやマズローといった学者を引き合いに出しながら、「傷つく」ことと「傷つける」ことに寄り添う一冊。曰く、人間なら誰しも経験する「傷」があり、みんな同じ「傷」を心に隠しているとのこと。また、現代ではSNSが「傷」の形成材料になりがちで。だからこそ、著者は「傷」に向き合えとは言わない。何もしないでいい。やり過ごしてもいい。「必ず回復する。いつか終わる」(P64) この本は、出口の見えないトンネルをひた走る人々の伴走者だ。2025/04/16
kuukazoo
11
優しき本である。人の心の柔らかさと強さへの信頼が基本にあるのだと思う。期せずして臨床心理系の本が3連続してしまった。月初に読んだ『死にたいとつぶやく』が1つのきっかけと思う。3人とも幾多の「傷つき」体験に寄り添ってきた経験からそれぞれの考えを述べているが「他人に頼れ」は共通している。が、それが一番のハードルかも。頼れる人がいるならほぼokと思うのだが。伊藤さんの本にもあった「セルフ・コンパッション」という概念の捉え方も難しい。その辛さは誰にでもある、というのは辛い人にとって全く説得力がないように思える。2025/03/24
coldsurgeon
9
人は生きていくうえで、他者との関係性は避けることはできない。そして、他者と関われば、傷つくことはあり、また傷つけることがある。傷ついたときに、そこから何を学び、どのように人間としての成長や成熟に生かしていくのかが重要であろう。また、人を傷つけることがあるので、その傷つけ方を練習することも必要だという。傷つけないような言動より、傷つけることを前提として、考えた言動をとることが重要だ。2024/12/18