出版社内容情報
哲学の三大テーマが、この1冊で理解できる!
哲学の世界では2000年以上もの間、数々の哲学者が膨大な思想や哲学書を生み出してきた。しかし私たちは、それらがあまりに多様かつ難解で、どこから学び始めればいいのか分からない。そこで注目するのが、哲学の基礎をなしている三大テーマ、存在論・認識論・価値論。それらの領域を「はじまり」から紐解けば、驚くほど哲学が「分かる」ようになる。「哲学」という学問の特徴はどこにあるのか。プラトン、デカルト、カント、ヘーゲル、フッサール――哲学者は世界の何に疑問を抱き、その思想はどう展開されたのか。「NHK100分de名著」にて解説の鮮やかさで話題を呼んだ哲学界の俊英が描く、誰もが知識ゼロから学べる哲学の地図。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
106
哲学を分かりやすく説明する戸谷さんが、「学びのきほん」シリーズでどんな解説をされているかと手にした一冊。哲学を、存在論/認識論/価値論の三つの領域に分けて紹介する。存在論では、ギリシャ哲学から実存主義に飛んでいるが、ヘーゲルへの言及は必須ではないかとか、倫理学(価値論)は、ベンサムの功利主義から出発しているが、やはりソクラテス・プラトンを振り返ることから始めるべきではなど、不満を言えば切りがないが、限られた紙幅の中での著者の尽力を了としたい。本書を手にした若者が、哲学への興味を深めて下さることを祈りたい。2024/08/14
けんとまん1007
47
書かれているとおり、哲学は全て学問・生活の基礎・基本だと考えている。哲学は、日常の暮らしを、自分の五感で感じ、自分で情報を得て、自分で体感し、自分の頭で考えて表現することだと考えている。その考える方法について、哲学の歴史を踏まえて整理してもらった感じがする。戸谷先生の著作で以前読んだ本も、内容はしっかりとしながらも、一定の読みやすさもあった。このあたりが、凄いとも思う。2025/04/02
兵士O
35
【存在論】『実存は本質に先立つ』ある固定観念が絶対というわけではない。その人自身の解釈によって本質すなわちどんなに普遍的に見える観念もいかようにも作り出せる、と僕は解釈しました。例えばイエスの復活。イエスは本当に処刑された後に蘇ったのか、それとも後世の信者が噂などを拡大解釈してそういう風に記したのか。物事を見る時、事実として受け止めるか、事実と違うが見方、認識の違いでそう受け取られた、ととるのか。最近僕は現実に懐疑的な本をよく読むのですが、ハイデガーやサルトルがそのことを理論化したというのは驚きでしたね~2025/04/07
三井剛一
17
哲学を学ぶにあたり、哲学史を辿り知識をつけようとしていた自分に、「自分で考える」楽しさを教えてくれた。 時系列に沿ってではなく、存在論、認識論、価値論に分けて辿ることで、より明確に変遷がつかめた。特に存在論の本質存在から事実存在への変遷がおもしろい。 学問の根本や土台となる重要な部分を探求する、終わりの見えない壮大な旅路に興奮する。 合理的な常識、当たり前以外にも道はある。それを教えてくれるのが哲学。非合理的かつ非効率的な道にこそ、おもしろいものがあると思う。2024/02/23
Roy。
8
【哲学とは当たり前を問い直す無駄な作業】 合理的に生きるのであれば不要なものではある。 だれだれが言っていたから、一般的にはこうだから、へしっかりと自分で考えることを放棄せず可能性を広げたほうが人生楽しいと改めて思った。 考えるうえでの領域分けで見通しが良くなる→存在論、認識論、価値論(美しさと正しさ)。 各論について簡単な事象、人物含めて紹介されているので考える取っ掛かりにし哲学本を読み考えていきたい。 巻末には次に読むと良い哲学本も掲載されており参考にされたい。2024/05/18