出版社内容情報
夢の中へ、自分の知らない自分を探しに
人は誰しも、自分では認識していない「心の秘密」を持っており、そのありか=「無意識」にたどり着き、心の秘密を取り戻すことで、心の病を治療することができる。そして、無意識を明らかにするための重要な素材が「夢」である――フロイトはこう考え、「無意識」という新たな心の領域を発見・探求し、人類の知の枠組みを一変させた。その理論を、夢の分析の豊富な事例をもとに築き上げたのが『夢判断』だ。「エディプス・コンプレックス」など性に関わる問題を扱っていたこともあり、誤読・誤解されることも多い本書を改めて丁寧にひもとき、夢や無意識をめぐるフロイトの理論・思想の本質、そして現代にも通じるその革新性を読みとく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
186
夢は抑圧された願望の偽装された充足である、とわかりやすく書いてある。その抑圧された願望の代表として、《異性の親への性愛的願望と、同性の親に対する攻撃的な願望から成る》エディプス・コンプレックスというものがあると。私はこの概念に拠る『ハムレット』の解釈が、フロイトの『夢判断』の中で一番好きだ。なぜなら、父を殺したクローディアスは、ハムレット、お前自身なのだ、と言い切るフロイトもまた、自分のことを言っていて、これがすとんと腹に落ちるからだ。他人事ではない、自分事だ…と考える所が精神分析の原点ではないかと思う。2024/04/25
ころこ
39
フロイトによると、夢は単なる願望充足ではなく、夢は「抑圧された」願望の「偽装された」充足である、という。この「」の部分がフロイトの発見であり、本書の論点になっている。人間の無意識は20世紀の文学や哲学において重要なファクターになるので、本を読むひとには必須の知識だ。読み易い本は俗流の心理学だったり、正統的な本は難解だったりするので、案外に類書は無いのではないか。番組に興味が無くても読む意義が十分にあると思う。特に第4回が理論として明快で、まとまっている。2024/04/04
blackstone
37
う~ん、難しい!それでも思ったことは、「エディプス・コンプレックス」とは「最初の性的な心の動きを母親に向け、最初の憎しみと残忍な願望を父親に向ける」。これは「男児ケース」でフロイトは女児の場合は、その裏返しだと考えていたが、今日の精神分析家達の一般認識は「女児にとっても最初の性的対象は母親(である)」…。研究が途中じゃないか?その続きに『そして、最初の憎しみと残忍な願望(=思春期になった娘が「なんで、私の洗濯物と一緒に、お父さんの下着を洗ったの!!(怒)」)を父親に向ける』。うん、これで完璧だ!w2024/04/24
Mishima
29
中学生の頃『夢判断』は愛読書だった。フロイトは神経症の患者を寝椅子に横たわらせ脇の椅子で会話をした。患者は知らず知らず夢の話をしたという。夢とは無意識の宝庫らしい。我が読書歴を振り返ると無意識の要素を物語に注入したものに強く惹かれている。無意識とは影のようなものであり日常生活が綻びぬよう意識が番をしているのだという。村上春樹の『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』では影を剥がされた人間のみが壁の内側で暮らすことができた。安部公房は自分の見た夢を詳細にメモしていたという。無意識は自分の裏側を知れる。2024/04/11
兵士O
29
僕が観たAVの中にママ友のものがあります。実の母親がいる4人のママ友の中で、その息子が憧れていたママ友を目隠しで探すもので、乳首や陰部を弄ったりして探します。息子が探し当てそのママ友と交わっている時に、実の母親は彼女に取られるくらいなら私が犯された方がいいと喘ぎ、司会者はそこで実の親子をまぐわらせます。近親相姦というのはタブー視されていますが、僕を含めてこれを観る輩がいるという事実。中年の僕も老いた母親の背中に直に軟膏を塗るのを拒んだりすることからも、異性として意識している。この本はそれを理論化している!2024/04/12