出版社内容情報
今こそ知るべき、「衝撃と恐怖の資本主義」の正体
ジャーナリストのナオミ・クラインは、1970年代のチリの軍事クーデターに始まり、ソ連崩壊、アジア通貨危機、米国同時多発テロ事件とイラク戦争、また台風や津波のような自然災害など、社会を揺るがす大惨事に乗じて導入された過激な市場原理主義改革の事実を、歴史的な視点で丹念に追い、この「ショック・ドクトリン(惨事便乗型資本主義)」によって先進諸国が危機状況にある国の富を収奪する構造を明らかにした。新自由主義が世界を席巻し、私たちの暮らす日本も「ショック・ドクトリン」の標的となり得る現在、改めてこの本を読みとき、社会を裏側で動かす構造を見抜く方法や、それに立ち向かうためになすべきことについて考えていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おたま
60
今回の100分de名著は、Eテレでの放送も全て観て、放送終了後に再度テキストを通読してみた。このテキストを読んだだけでも、相当な衝撃を感じる。もちろんナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』への案内として堤未果は想定しているのだろうが、このテキストだけでも十分目を開かせてくれる。「ショック・ドクトリン」は災害や戦争等の衝撃的な出来事に際して、人々が呆然としている隙を突いて、一気に新自由主義的な手法を導入する(惨事便乗型資本主義)。気が付けば、これまでの日本が辿ってきた道そのものだということに愕然とする。2023/06/29
belalugosi6997
34
堤未果女史が久々地上波に!著者に影響を与えたN・クラインのショック・ドクトリン。TVではカットされたのか?TVではソフトにしたのか?著書では竹中平蔵氏や元日銀総裁の白川方明氏が登場する。彼ら新自由主義者の開祖、M・フリードを元々嫌いだったが、更に嫌いになった。養護するつもりはないが、目的を達するためには手段を選ばない。手段としての惨事便乗型資本主義、ところが利用者が金に無心している。官民産学が揃って支持にしていてたちが悪い。最後には著者らしく、逆襲に転じた国民の成功例で締めくくる。「復興特区」はやばい2023/07/08
やまはるか
32
6月のEテレでショックを受けた。ノーベル経済学賞シカゴ大学ミルトン・フリードマンとシカゴボーイズと呼ばれる弟子たちによって世界中で進められた新自由主義経済。チリでは社会主義政権をクーデターで倒して思い通りの政権を打ち立てる。世銀やIMF、白川元日銀総裁、竹中平蔵もシカゴボーイズの仲間らしい。規制緩和、民営化、社会保障削減し全て市場原理に委ねる。富裕層が儲かれば国民も豊かになる筈のアベノミクス、トリクルダウンは解析の結果否定されている。3.11復興で村井宮城県知事が進めた水産特区もショック・ドクトリンの一。2023/08/13
Tenouji
29
新自由主義の暴走は、海外では以前から意識されていたような印象があるが、日本では今一つ分からなかった。長期デフレだったからか?全ての効率化が悪ではないと思いたいが、民主的な手続きを取らない改革には要注意なのだろうか。結局のところ世論の流れにもよるのだろうか。2023/06/28
かず
27
一昨日、購入をパスした。堤未果氏を信用していないからだ。「100分・・・」は良番組だが、時折主張が一方的過ぎることが気掛かり。昨日、「AIは東大合格できるか」の新井紀子氏の講演を聴いた。教科書を理解できない多くの子供達。彼らが作る未来に空恐ろしくなり、本著を買おうと決めた。本著曰く、ショックを与えて無思考状態に陥れ、一気に状況を一変させ、富を強奪する、それが新自由主義のやり方だ、と警鐘を鳴らす。しかし、本著も、危機を煽って洗脳するという意味では一緒だろう。公平を期すため、フリードマンも読むことにする。2023/06/04