出版社内容情報
老いは不意にあなたを捉える
見たくない、聞きたくない、考えたくない――。そんな「老い」の実態をあらゆる観点から論じ、従来のステレオタイプを次々と打ち砕いたボーヴォワールの主著。なぜ老いを自覚することは難しいのか。老人が社会から疎外される根本理由とは。キレイゴト抜きに「老い」の実態を暴き、「文明のスキャンダル」と捉え直した著作の真価を、現代日本の状況にも引きつけながらやさしく解説する。
著者略歴
著・文・その他:上野 千鶴子
社会学者、東京大学名誉教授。1948年、富山県生まれ。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。専門学校、短大、大学、大学院、社会人教育などの高等教育機関で、40年間教育と研究に従事。主な著書に『近代家族の成立と終焉』『家父長制と資本』(ともに岩波現代文庫)、『おひとりさまの老後』(文春文庫)、『おひとりさまの最期』(朝日文庫)、『女ぎらい』(紀伊國屋書店)、『ケアの社会学』(太田出版)など多数。近著の『在宅ひとり死のススメ』(文春新書)では、慣れ親しんだ自宅で幸せな最期を迎える方法を提案している。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベイマックス
110
偶然、テレビで見て購入。100分de名著を購入した。以前は毎月購入していた時期があったけど、興味のわかない月があって購入しなくなって、そのまま年月が過ぎていた。◎サルトルとの生涯、恋愛観、などなどスゴイ。なかなかに真似の出来る生き方ではないけれど、思想的には触れていたい。上野先生もあいかわらずカッコイイ。2021/07/01
アキ
97
「老いとは他者の経験であり、自分の老いはなかなか認められない。老いた作家の書くものは二番煎じになり、学者の発見は40歳止まり。政治家は新しい時代についていけない。老いても性欲は持ち続けるが社会からは嫌悪される」ボーヴォワールの提示した当事者研究は先見性のある暗い側面だが、最終回で上野千鶴子はボーヴォワールの老年と死を提示し実存主義を実践した人生を俯瞰します。そして「在宅ひとり死のススメ」で展開した日本の社会保障の現在、施設から在宅への流れを示し、著書で触れられなかった安楽死の問題にも言及して終えます。2021/07/24
れみ
80
NHK-Eテレ「100分de名著」のテキスト。私にとっては「老い」はいつか来るものとは思いつつも、当事者感覚にはまだ遠い。上野千鶴子さんの解説のなかで、ご自身が40歳過ぎに新しいジャンルで研究を始めたことが書かれており、私自身が20代後半の頃「転職するなら30歳までにしないともう無理」と漠然と思っていたことを思い出し、ハッとさせられた。40代50代でも、まあなかなか体や頭がついて行かないこともあるだろうけど、新しいことに挑戦することをあきらめなくてもいいのかもしれない…と少し勇気をもらった。2021/06/27
ネギっ子gen
60
【老いとは誰もが抗えない衰えの過程】『第2の性』から20年後の62歳に発表した『老い』を、社会学者・上野千鶴子が、老いを自己否認する仕組み、社会や職業別の老い、老いと性、老いの社会保障という4つの視点から解説した書。<変革のためには、まず現実を知ることが必要です。ボーヴォワールは膨大な資料を読み解いて、厄介者扱いされる高齢者の現実を直視します。また「自分は厄介者になってしまった」と悲嘆する高齢者の心理をも直視/老いとはこんなに惨めでみっともないものであるということを、これでもか>と書いた、陰惨な本だと。⇒2025/02/07
ころこ
42
このシリーズの他の回で第1回にモチーフをかなり詰め込むのをよくみますが、今回はあっさりと問題の所在だけで第1回が終わっていることに驚きます。それだけ構成に気を使い、その後の展開に自信がある現れなのか、議論が上手く整理されている印象を持ちます。第2回から『老い』を基本的に評価しつつ、よく読むと批判するところはかなり批判しています。批判的に読むことはまさに他者としての経験ですし、実際に『老い』を読む時の目付に役立ちます。さらに自説も展開させていますが、著者の自分に対する肯定感だけはどうしても好きになれません。2021/07/16
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