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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ラウリスタ~
16
伝記的な第1章は極めて面白かったが(ナチスを逃れマルセイユから密航船でアメリカへ!NYではヤコブソン、ヴェイユ兄と学際的な交流)、2章以降で野生の思考の解説になると拍子抜け。野生の思考って、文明と野生という二項対立を自明視し、野生を称えることで知らず知らずにオリエンタリズムの罠に陥っていると後世の目から見えると思うのだが(デリダ以降)、そのことには一切触れず、また70-80年代のフランス人的日本文化解釈(バルトみたく)を全肯定し、最後にはレヴィの愛した築地市場を守ろう!と締める。全く現代性がない。2023/06/23
ももたろう
16
野生の思考とは、固定化していない自由な思考の事だと思った。完全にマニュアル化された料理店では、全国一律どこでも同じ味を楽しめる。固定化である。全くマニュアルに頼らず、素材の味を十分に生かすことを考え料理を作る店もある。両者は大きく違う。そこで働く人間にとってもマニュアル通りに動くか、常に変化する目の前の素材の良さをいかに引き出すかという違いがある。枠にハマっているかどうかの違い。何かが創造される時、まさしく「野生の思考」が働くんだろうな。最終章は、過去に学び、現在を生きることの大切さだと感じた。2019/03/17
カテータク
12
これは予想以上に面白かった。ストロースは文化人類学の観点から構造主義を語り哲学に昇華させていくという流れのため、具体例がイメージできるため比較的理解しやすい。同じ構造主義でも言語学ベースの話となると、自分では内容どころか何の話をしてるのかすら理解出来なくなるので助かった。現代はネットを中心に、何かにつけてこいつは右だ、あいつは左だ、等とカテゴライズして対立を煽る傾向があるが、ストロースから見れば右も左も結局は『「歴史」の思想』という概念に捕らわれた同じ穴の狢となるようだ。少し溜飲が下がった。2016/12/05
sonettch
11
自然の人間化:「レヴィ=ストロースは、日本で受けた印象の一つとして、この国の人々は「自然を人間化する」と語りました。日本には人間の手の入っていない風景はほとんどなく、自然といわれているものにも、何らかの形で人間の「はたらき」が入っている。」(pp.93-94)2016/12/18
小早敷彰良
10
野生の思考とは、構造主義の解説者であり、世界を感覚的に共通する構造へと分解し理解する、人間の原始的な心の動きを指すと理解した。2022/06/05