NHKブックス<br> 物語としての旧約聖書―人類史に何をもたらしたのか

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物語としての旧約聖書―人類史に何をもたらしたのか

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  • サイズ B6判/ページ数 352p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140912836
  • NDC分類 193.1
  • Cコード C1314

出版社内容情報

【「はじめに」より】
 聖書には、旧約聖書と新約聖書があり(略)旧約聖書のほうは、大小39の書から構成されています。そのほぼ半分は古代イスラエルの先祖たちの物語や王国の歴史記述ですが、預言者たちの言葉、イスラエルの民が詠った詩歌、さらに短編小説を思わせる物語や人生を省察した作品などがそこに加わります。聖書と呼ばれるので、堅苦しい宗教的な教えを思い浮かべる方もおられるかもしれませんが、そこには人間味あふれる物語が少なくありません。(略)
 ユダヤ教の聖書がキリスト教に受容されることにより、旧約聖書に伝わる思想の多くもキリスト教へと引き継がれました。唯一神観、自然観、歴史観、人間観など、キリスト教思想の多くは旧約聖書に由来します。それだけではありません。ユダヤ教やキリスト教を介して、旧約聖書の物語や思想はイスラム教にも受け継がれました。初期のイスラム教徒が自分たちを創世記に物語られるアブラハム(イブラヒム)の子孫と理解したことなどは、その一例です。
 旧約聖書を残した古代イスラエルの民は、紀元前1200年前後にパレスチナに定住した弱小の一民族でした。紀元前1000年ころに王政に移行したあとも、彼らは弱小の民であるがゆえに、南のエジプトと東のメソポタミアに興ったアッシリアやバビロニアといった大国のはざまで翻弄され続けました。王国は南北に分かれ、北王国は紀元前七二二年にアッシリアに滅ぼされ、南のユダ王国は紀元前586年にバビロニアによって滅ぼされ、主だった人々は失ってバビロニア捕囚民となりました。捕囚から帰還した紀元前6世紀後半以降、エルサレムを中心とする彼らの地はペルシア帝国の一属州になり、ペルシア帝国が滅亡してからは、エジプトのプトレマイオス朝の、またシリアのセレウコス朝の支配下に組み込まれました。旧約聖書に記されたもっとも新しい時代は、マカベア戦争と呼ぶ、ユダヤの民が蜂起し、セレウコス朝に独立戦争を挑んだ紀元前二世紀前半です。その後、独自の王政が敷かれた時期もありますが(略)反ローマ独立戦争に敗れたユダヤの民は故地を失い、世界に散在する民(ディアスポラ)となるのです。
 古代イスラエルのこのような歴史のなかで、旧約聖書は書き記されました。そしてそれが、ユダヤ教成立の基礎となり、キリスト教誕生の土壌となり、イスラム教にまで浸透しました。当時の古代オリエントの強大国に翻弄され続けた弱小の民が残した旧約聖書は、こうして、その後の宗教の歴史にはかりしれない影響をおよぼすことになりました。それは人類宗教史に生起した一大逆説と呼びうるような現象です。(略)
 本書では、ヘブライ語で伝わる旧約聖書にもとづき、古代西アジア文明地の一隅に歴史を刻んだイスラエルの民が伝える物語をたどりながら、そこにたたみ込んだ思想と信仰の特色を探ってゆきます。それによって、人類の宗教史にはかりしれない影響をおよぼしえた旧約聖書の秘密の一端を、また旧約聖書のもつ今日的意義の一端を明らかにできれば、と願っています。

内容説明

文明史の結実である『旧約聖書』から人類への警鐘を読み解く。『旧約聖書』は、ユダヤ教の成立の基礎となり、キリスト教誕生の土壌となり、イスラームにも浸透し、そして数多のフィクションの祖型となっている。ヘブライ語による『旧約聖書』には、特に弱小の民であった古代イスラエルの人々の宗教観や、地域の慣習などが色濃く反映されており、遺された字面のみで解釈するには困難を伴う、謎めいた「物語」が展開されている。それらの「謎」について、総合的・学際的見地からの考察を行い、歴史的な役割と、人類の思考の「普遍」を知るための一冊。

目次

天地創造―人間と自然の調和を願って
エデンの園―人間は塵から造られ塵に帰る
カインの末裔―都市文明への批判的視座
大洪水―物語の現代的意味
アブラハム―おそれとおののきのなかで
ヤコブとその子ら―目に見えない神の摂理
出エジプト―苦境からの解放
カナン定住―嗣業の地の配分
ダビテとその後―翻弄される王国
預言者の言葉―時代批判と将来への希望
預言者群像―その素顔と個性
小さき者たちの神―多様性と逆説性

著者等紹介

月本昭男[ツキモトアキオ]
1948年、長野県生まれ。東京大学文学部卒業。同大大学院人文社会科学研究科中退。ドイツ・テュービンゲン大学修了(Dr.Phil.)。1981年より立教大学勤務、2014年3月、同大学キリスト教学科教授退任。同大学名誉教授。2014年4月~2022年3月、上智大学特任教授。同大学名誉教授。現在、古代オリエント博物館館長。経堂聖書会所属。専門は、旧約聖書学・古代オリエント学・聖書考古学・宗教史学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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鐵太郎

26
旧約聖書をキリスト教徒としてではなく、歴史研究家、思想研究家という視点で解説した本、と言えばいいかな。この本は、のちにユダヤ人として自覚する民族の成り立ちと、彼らをひとつにまとめる象徴となった神ヤハウェの意味を描き出しています。現実離れした神話の成り立ちと意味の解釈から始まり、現実の史実を自分たちの視点でなぞった歴史、そして歴史の中で人々の堕落を叱咤する預言者たちの行状。なぜユダヤ人は結束し続けられたのか、についての論。ああなるほど、こう言う視点で解説してもらうと、面白いね。2024/08/13

かふ

21
旧約は古代イスラエルの創世神話以前のオリエントの神話が混じっていると書かれてあるがこの本は古代イスラエル中心の物語をなぞっていく話であまり面白くない。というのは文学に出てくる聖書とかに興味があって読んだのだが、ヨナ書が最後にちょこっと出てきたぐらいで、ヨナ書が旧約とは反する物語だと知った。あとよく出てくるヨブの話も最後の方にちょっこと出てくるのだった。こちらは最近注目されているコーヘレト書に触れていて、これは空の思想で面白いのだが最後の方で取って付けたように旧約の複眼性について触れている。2024/05/05

月をみるもの

14
海外のホテルにとまったら必ず(でもないのか最近は)置いてある聖書。けど英語だか現地語で読むことなんてないし、日本で出会ったとしても、めちゃくちゃ暇をもてあました時に、冒頭の創世記に目をとおすくらいが関の山。なのにエデンからの追放とか、カインとアベルの確執とか、バベルの塔の崩壊とか、ノアによる大洪水からの脱出とか、そういったエピソード群はなぜか聞いたことがある、、というのがクリスチャンではない平均的な日本人の「教養」レベルであろう → つづく2024/03/10

みさと

6
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の母体となった旧約聖書に記された物語について、周辺西アジア諸国の歴史と対比しながら総合的・学際的な考察を行う。と言っても決して難解でなくわかりやすく語る。古代イスラエルの民は豊かな農耕民ではなく貧しい遊牧民、周囲を大国・強国に囲まれた弱小の民。神ヤハゥエは、だからこそ彼らを選んだ。その信仰が聖書にはしっかり記されている。だからこそ、貧しい者、寡婦、寄留の民を保護せよと律法は命ずる。豊穣を約束する他の神を拝んだときに厳しい罰が下る。神ヤハゥエは、権力者の神でなく小さき者の神。2024/05/20

くらーく

6
途中まででギブアップ。読み進める気になれなかった。日本語に訳された時点で、元の誤訳があるのかもしれないし、旧約聖書の内容が何とも理不尽。それを読んで解釈するんじゃ、どうとでも取れるのではないだろうか。唯一の神は理不尽な事を人類に与えているだけにしか思えないのですけれど。神なんかいないよね、科学的には。神的なサムシンググレート(どうしてこうなった)は認めるけれど。 どうして、本(文字)に頼るかねえ。ゴータマもイエスもマホメットも(孔子、老子もかな)文字に残さなかったのは、何かあるのかもなあ、と思ったり。2024/04/13

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