内容説明
二十世紀なかば、構造主義は思想界を一変させた。その思考は今なおあらゆる学問分野の底流となっている。構造主義者は、日常生活に潜む権力、他者を排除する仕組み、そして「オリジナル」という観念が幻想であることを暴いてきた。では、現代、構造主義に読み込める最も重要な知見とは何か。それは、他者を巻き込んで成立する自己像を発見したことである。「絆」が称賛される一方で他者への不寛容が強まっている現在、異質な存在を包摂する個人のあり方をこそ学ぶべきなのだ。原典を丁寧に読み解き、来るべき社会の構想に及ぶ“再入門”書。
目次
第1部 主体と作品の解体(作者はなぜ死んでいるのか;言語は何を伝えるか;「構造」とは何か;類似から相似へ;権力はいつ変容したか)
第2部 権力と主体の解剖(代理から代替へ;古代における「主体化」;言語の権力を揺さぶる;悲劇の人格論;「ない」という「ある」こと)
第3部 今こそ読み返す(人を喰う社会と人を吐き出す社会;分人論を先取りし、のりこえる;新世界のレヴィ=ストロース)
著者等紹介
出口顯[デグチアキラ]
1957年、島根県生まれ。筑波大学比較文化学類卒業。東京都立大学大学院社会科学研究科修士課程修了、同博士課程退学。島根大学法文学部助手、助教授を経て、同大学同学部教授。博士(文学)。専門は文化人類学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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