内容説明
アフガニスタン、イラクに続いてイラン攻撃を目論むアメリカ。なぜアメリカは戦争を仕掛けるのか、なぜいつも中東なのか、そしてアメリカ偏重の日本外交がはらむ危険とは何か。アメリカとイスラエルの政治・経済を侵食する「軍産複合体」とイスラエル・ロビーの強大さ、イランを支配する反動の「革命防衛隊」の実態を解明し、大義なきイラク戦争に協力した日本政府の姿勢を検証する。基地と米軍への協力を根本から考え直し、日本外交を思考停止と機能不全から救い出すための一冊。
目次
序章 私たちはどのような世界に生きているのか
第1章 軍産複合体のアメリカ
第2章 国を超えた軍産複合体どうしの協力
第3章 紛争をつくり出すイスラエル
第4章 「衝突」を引き起こすイラン革命防衛隊
第5章 対テロ戦争が遺したものとノーベル平和賞
第6章 歴史的検証―対テロ戦争を支持した日本人
第7章 日本が戦争に巻き込まれないために
終章 私たちはどこに向かうべきか
著者等紹介
宮田律[ミヤタオサム]
1955年、山梨県甲府市生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院歴史学科修士課程を修了。現在、静岡県立大学准教授。専門はイスラム地域研究・国際関係論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はとむぎ
17
国家の歴史は、戦争の歴史。国家間の関係は、無秩序であり、平和は戦争の小休止に過ぎない。 全ては縁起だが、イスラエルという国が産み出されたことで、永遠に解決できない地政学的な危機を人類は作ってしまった。仲が悪い人は、近くにいたらダメで、間に中立な人が必要。2024/02/11
nagoyan
4
良。1~3章で米の中東政策、イスラエルの安保政策、両国の軍産複合体の問題が指摘される。4章ではイランの排外主義的抑圧体制が紹介される。5章でオバマ政権の「核廃絶政策」の欺瞞性を抉り、6章では小泉政権の対米追随的な戦争協力政策が手厳しく検証される。7章では沖縄問題をからめ現在日本の外交無策を批判する。中東問題のおさらいとしては良著、日本外交の分析としては、当時の外交当局者が何を天秤にかけていたのか十分な分析がない。日本のイラク開戦支持は残念ながら対米外交として決断された。その背景の分析が必要ではないか。2010/12/26
脳疣沼
1
内容は、アメリカの軍産複合体が国際問題における諸悪の根源である、ということに尽きる。それゆえ、それに反抗するような人物、たとえば鳩山由紀夫なんかは失脚させられる、という陰謀論が作られていく。しかし、私には鳩山由紀夫はお金に甘い無能だから失脚したとしか思えないのである。集団的自衛権については、日本はアメリカにNOと言えないのだから、持つべきでないと言うが、アメリカにNOと言った石橋湛山を称賛し、米軍基地を国外へ、と主張していたりもするので、よくわからない。NOと言えないのではなかったのか。2016/06/21
さみえる
0
前回のイスラエル諜報機関「モサド」インタビュー録とイスラエルに対して、全く反対の感情の立場で書かれていたのが興味深かった。今回はアメリカという第三者が入ってきて、その三角関係がよく見えた。敵の敵は敵ではないが、敵が敵でなくなった瞬間に敵になりうるという話にはなるほどと思った。2011/08/25