内容説明
選択的中絶や尊厳死など、生の輪郭が揺らぐ中、生命倫理という知/権力は「生命」の範囲を線引きしてきた。本書は抽象化された従来の生命論を超えて、「誰々が生きている」という人称性を伴った事実にこそ生の真髄があると説く。障害者が自己の出生を否定するロングフル・ライフ訴訟や、中絶・脳死問題を題材に、倫理的配慮の対象は誰かを見定め、個を起点に、他者との関係性の中で生きる人間像を描き直す。倫理学の新たな一歩を築く画期的論考。
目次
序章 「生命」を問い直す(「かけがえのない生」が揺らぐ時;反・生命の倫理学に向けて)
第1章 胎児や脳死者は人と呼べるのか―生命倫理のリミット(「生命」とは何か;胎児とは“誰”のことか;脳死者と胎児の差異)
第2章 「生まれない方がよかった」という思想―ロングフル・ライフ訴訟をめぐって(ロングフル・ライフ訴訟とは何か;ロングフル・ライフ訴訟の実例;「生きるに値しない人」は存在するか;「生命」の至上価値を疑う)
第3章 私という存在をめぐる不安(存在の「意味」をめぐる不安;存在の「根拠」をめぐる不安;存在の「事実」をめぐる不安;〈非在者の驕り〉を批判する)
第4章 「生命」から「新しい人」の方へ(人間はいつから「生命」になったのか;「誕生」の哲学・序説)
著者等紹介
加藤秀一[カトウシュウイチ]
1963年東京生まれ。一橋大学社会学部卒業、東京大学大学院社会学研究科満期退学。明治学院大学社会学部教授。専攻は社会学、性現象論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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