NHKブックス
“個”からはじめる生命論

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  • サイズ B6判/ページ数 245p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140910948
  • NDC分類 461
  • Cコード C1312

内容説明

選択的中絶や尊厳死など、生の輪郭が揺らぐ中、生命倫理という知/権力は「生命」の範囲を線引きしてきた。本書は抽象化された従来の生命論を超えて、「誰々が生きている」という人称性を伴った事実にこそ生の真髄があると説く。障害者が自己の出生を否定するロングフル・ライフ訴訟や、中絶・脳死問題を題材に、倫理的配慮の対象は誰かを見定め、個を起点に、他者との関係性の中で生きる人間像を描き直す。倫理学の新たな一歩を築く画期的論考。

目次

序章 「生命」を問い直す(「かけがえのない生」が揺らぐ時;反・生命の倫理学に向けて)
第1章 胎児や脳死者は人と呼べるのか―生命倫理のリミット(「生命」とは何か;胎児とは“誰”のことか;脳死者と胎児の差異)
第2章 「生まれない方がよかった」という思想―ロングフル・ライフ訴訟をめぐって(ロングフル・ライフ訴訟とは何か;ロングフル・ライフ訴訟の実例;「生きるに値しない人」は存在するか;「生命」の至上価値を疑う)
第3章 私という存在をめぐる不安(存在の「意味」をめぐる不安;存在の「根拠」をめぐる不安;存在の「事実」をめぐる不安;〈非在者の驕り〉を批判する)
第4章 「生命」から「新しい人」の方へ(人間はいつから「生命」になったのか;「誕生」の哲学・序説)

著者等紹介

加藤秀一[カトウシュウイチ]
1963年東京生まれ。一橋大学社会学部卒業、東京大学大学院社会学研究科満期退学。明治学院大学社会学部教授。専攻は社会学、性現象論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

鳩羽

7
出生前診断や尊厳死など、生命倫理が問われることはこれから増える一方だろう。生命は生命であるから無条件に価値があるとするのではなく、その命が個としてどんな意味を内包するか、「誰か」という人称的な存在であるかどうかということから、もう一度生命の閾値を考えさせようとする内容。生まれない方がよかったというロングフル・ライフ訴訟を例に挙げ、非在の場合と存在の場合の利益を比較することはできないため、非在の存在の語りは騙りだとするのも、生命を持つ個をぶれさせないためなのかなとも思う。2019/05/02

bouhito

4
「生まれないほうが良かった」と叫ぶ権利は、誰が持っているのか。命とは、今まさにここにいる私を離れてはありえない。筆者は、ドラえもんをはじめ、マンガなどを題材に論を進めていく。環境科学を専攻している(いた?)友人に「ナウシカは漫画版を読むべき」とさんざっぱら言われていたが、本書にはナウシカのネタバレが書いてある。2015/10/25

TAKASIandTOSIKO

1
よくある「産んでくれなんて頼んでねーよ!」問題に対するアンサーはなかった。残念。生殖やめろ2017/09/03

K.K

0
生命倫理にわたるトピックの整理や教科書的なものとしての利用に優れている。2015/06/02

yuki

0
詳しく書くことはやめようと思う。そんなにじっくり読んだわけでもないし。ただ、「答え」がここにあったのかが分からないな、とだけ思った。2013/08/12

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