内容説明
貿易の自由化を求めて幕末日本に開港を迫った西洋諸国、中でもイギリス人は、外交官や医師、海軍士官、大商人などが数多く来航した。時はまさに幕末維新の開幕直前、風雲急を告げる時代、尊王攘夷に燃える志士たちのテロルにさらされながら、大国の軍事力で脅しつつ自分の流儀を持ち込もうとする彼らは日本人のどこに長所や短所を見出し、コモンセンスやフェアプレーはどんな場面で発露したのか、彼らの残した日記、資料などから幕末のイギリス人を描き出す。
目次
1 イギリス紳士の外交―大国の軍事力で脅しつつ(日英外交史概観;イギリス紳士スターリングとエルギン卿;イギリス紳士オールコックと反英感情;外国人テロの要因とイギリス)
2 イギリス紳士の幕末生活(日英の食文化の遭遇―イギリス紳士の食生活;スポーツ好きのイギリス人;幕末日本の社交生活;イギリス紳士の見た日本人)
著者等紹介
山田勝[ヤマダマサル]
1942年生まれ。1965年、神戸市外国語大学英米学科卒業、大阪大学大学院博士課程修了。英文学専攻。神戸市外国語大学名誉教授。日本ワイルド協会前会長。2004年3月3日逝去。著書に『孤高のダンディズム―シャーロック・ホームズの世紀末』(早川書房、シャーロック・ホームズ大賞受賞)など
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Humbaba
3
幕末におけるイギリス人の役割は小さなものではなかった.文化の違いから様々な問題も起こったが,彼らのフェアプレーの精神は,テロにさらされながらも随所で見受けられた.個人によっても様々な日本観が生まれたことが,その日記から明らかになっている.2010/09/16
よこよこ
3
イギリス紳士と幕末日本という切り口が大変興味深く、斬新。両方が好物なので尚更でした。一見傲慢で鼻持ちならない英国紳士ですが、あの時代の日本独自の美徳を認めてくれ、互いに一番影響しあったのは英国だったんだなぁと改めて学びました。しかし、山田先生はほんとに昔からダンディズム一筋だなぁ…2010/05/20
takao
2
ふむ2024/01/16
桑畑みの吉
2
江戸幕府の開国はアメリカの圧力でなされたが、その後アメリカが南北戦争に突入した為に、明治維新に至るまでイギリスの影響力が増大した。本書はそんなイギリス外交団の上層部である紳士階級の成り立ちから優雅な文化や巨大な権力についてかなりのページを割いて説明している。当時世界一の軍事力、経済力、外交術を有する紳士たちのプライド(時に傲慢さを含む)の前に、幕府はただ委縮するしかなかったであろう。イギリスと幕末日本の食生活、レジャー、田園風景、男女関係について比較している部分も興味深かった。2020/02/01
PIPI
1
イギリス帰属の小宴の広大さにビックリ。それと、太っていればいるほどいいという価値観。コモンセンスとは、自分たちの常識だという自己中心主義。2008/03/13
-
- 和書
- 製品責任時代の品質表示