内容説明
これがSNS時代のフィールドワーク術だ!中国は宗教大国だった!?奇っ怪な神々が跋扈する中国各地のディープな信仰世界を、TikTokを駆使した「お手軽フィールドワーク」で活写する前代未聞の民俗学ルポルタージュ。福建在住の異色の民俗学者が描き出す、知られざる中国の素顔に刮目せよ!驚きの取材写真180点超もフルカラーで一挙収載!
目次
フィールドワークのしおり
第一章 逆立ち張五郎を探せ!
第二章 張五郎にチラつく鬼の形相
第三章 セクシー九尾狐に魅入られて
第四章 タイの神秘とセクシー九尾狐
第五章 大黒天の逆輸入
第六章 お盆フェスの聖と俗
第七章 闇に惹かれる人々、増殖する無常
第八章 中原に花咲く無常信仰
著者等紹介
大谷亨[オオタニトオル]
1989年、北海道生まれ。2012年、中央大学文学部卒業。2022年、東北大学大学院国際文化研究科修了。博士(学術)。現在、廈門大学外文学院助理教授、無常党副書記。専攻は中国民俗学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さとうしん
17
抖音にアップされている動画を手がかりに中国内地の淫祠邪教……もとい民間信仰を探る試み。通常中華圏の民間信仰というと台湾や東南アジアでの報告となるのだが、前作に引き続き大陸をメインフィールドとし、文革によって廃れたとされていたシャーマニズムなどの民間信仰がしっかり生き残り、かつ現代的な展開を遂げていることを生々しく報告。豊富なカラー図版とともに中国の旅あるあるも追体験できる。前作のテーマの無常信仰にも続考があり、読み応え抜群。2025/12/12
kenitirokikuti
12
著者の前著『中国の死神』を少し読んでいたので、これが何なのか気がついたのだった。いろいろ取り締まりが厳しそうに見える2010-20年代の中国だが、それは都市の話であって、やはり農村に行けば怪しげな開運グッズとともにキッチュな偶像神が跋扈しているのだった。日本式大黒天というかいわゆる「福の神」が売られたり、狐神の亜種としてボディコンギャルふうの九尾狐の画像とか、ドンキみたいなあれこれがおもしろい2025/12/13
キャリー
8
面白かったー!前作は論文を一般向けにしたものだったので真面目な部分も多かったけど、今作はより文章が軽快で読みやすい。生きた民間信仰というのは変化し続けているんだというのがよく分かる。新しい信仰対象も次々と現れているし、その信仰対象がセクシー九尾狐だったり日本から逆輸入された大黒天だったりとなんで!?と思うようなことばかりだけど、その謎の考察もこれまた面白い。そして各地での取材模様というか、単純に旅行記としても面白い。清原似のタクシーの運転手さんに詰め詰めにされて雪道を行く件好き。2025/12/12
韓信
3
前著同様、中国版TikTok等を手がかりに中国内外の「淫祠邪教」を訪ね歩く民俗学ルポ。前著の続編ともいえる東南アジアと華北の無常信仰のほか、逆立ち張五郎、セクシー九尾狐、逆輸入大黒天、お盆フェスといった多彩な民間信仰の現場が切り取られ、現在進行形で変容し儒・仏・道教と習合していく様子がビビッドに描かれており、学問として刺激的で面白いだけでなく、前著の無常珍道中で発揮した紀行作家としての腕にも磨きがかかり、中国やヘマをやらかす自身にツッコミを入れながら綴る紀行エッセイとしても爆笑必至の傑作にしあがっている。2025/12/21




