出版社内容情報
「旧統一教会問題」が露わにしたもの
安倍元首相銃撃事件を機に急浮上した旧統一教会問題。宗教のあり方が問い直された。本来は人を救うはずの宗教と“カルト”との境界はどこにあるのか。政治と宗教の関わり方にどのような“歪み”があったのか。これから私たちは、どのように宗教と向き合うべきなのか。現場の第一線にいる研究者・宗教者6人が集まり、宗教と社会・政治・人間の「これから」を徹底的に討論する。YouTube 版動画が10 万回以上再生されたNHK E テレ「こころの時代 宗教・人生 問われる宗教と“カルト”」に、出演者の書下ろし論考を収載して緊急出版化。
内容説明
安倍元首相銃撃事件を機に急浮上した「旧統一教会問題」。宗教のあり方が問い直された。本来は人を救うはずの宗教と“カルト”との境界はどこにあるのか。政治と宗教の関わり方にどのような“歪み”があったのか。これから私たちは、どのように宗教と向き合うべきなのか。現場の第一線にいる研究者・宗教者6人が集まり、宗教と社会・政治・人間の「これから」を論じる。
目次
第1部 “カルト”問題の根源をさぐる(“カルト”とは何か?;社会体制と宗教;現代宗教の“歪み”とは)
第2部 われわれは宗教とどう向き合うべきか(宗教離れと宗教集団の“劣化”;政治と宗教のゆくえ;宗教の“公共性”とは)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
106
オウム事件により日本人は宗教を異常視するようになった。しかし生きる上で迷い苦しむ人の心は弱く、自らを導いてくれる神に救いを求めてしまう。戦後日本は戦前の反省で宗教について学校で教えなかったため、最初から弱い人を誘い込む目的のカルトには豊饒な狩場となってしまったのだ。それが元首相暗殺の原因となると、今度は宗教とカルトを同一視し排撃する言動すら出ている。両者を明確に区別し、簡単に洗脳されないため宗教リテラシーを身につけねば生きにくい世になった状況が見える。少なくとも中高生には宗教学習カリキュラムが必要だろう。2023/03/26
優希
44
統一教会の一件から宗教とカルトについて改めて問い問い直されているのですね。人を救うはずの宗教とカルトの線引きは危うく、どこにあるのか。6人の宗教学者の考察によって考察されることで、線引きがぼんやりと見えた気がします。信仰があるからカルトへと動かないとは言えません。これから先も宗教とカルトの問題は問われ続けることでしょう。2023/02/11
てつ
30
宗教と政治の関係を専門家が極めて分かりやすく解いた本。旧統一協会に関しては詳しいが、もう少し突っ込んだらもっと面白いかも。2023/04/08
かずぼう
25
「救いは絶対にお金では買えない。なぜなら神にとってお金は必要ないから」の、一文に尽きる。2024/05/09
崩紫サロメ
23
旧統一教会の件を受けて、宗教問題に長年携わってきた有識者たちが「宗教リテラシー」の重要姓を説く。人の尊さや等しさについて宗教から学ぶべきところを、日本人の多くは道徳や倫理の問題だと思っており、その感覚は戦前の「修身」からきているのではないか(島薗)。また近代国家が宗教を巧妙に取り込み、国民を戦争に動員し、「尊い犠牲」を払ったものを検証する「犠牲のシステム」を生み出してきた(小原)など、コンパクトな1冊の中で各著者の鋭い指摘を読むことができる良き入門書。2023/02/06