出版社内容情報
『クロ現+』取材班が、ネットの“いま”を徹底追跡!
売上高でテレビに迫り、近い将来、トップになると目されるネット広告。しかしその巨大市場の陰で、“不正に”金儲けを行う者が存在する。あなたが見ているそのサイトで稼いでいるのは誰なのか?! NHK『クローズアップ現代+』取材班が、現在のネットビジネスが抱える問題点をあぶり出す。
内容説明
急成長を遂げ、年間売上1兆8000億円に迫ろうとするネット広告市場。近いうちに、地上波テレビを追い抜き、「広告の王者」になると目されている。しかしその巨大市場の奥底で、ネット広告特有の複雑な仕組みを逆手に取って、不正に金儲けを行う者が存在する。広告費はいったいどこに消え、儲けは誰の手にどれだけ渡っているのか。「クローズアップ現代+」取材班が、現在のネットビジネスが抱える問題点をあぶり出す!
目次
第1章 肥大化するネット広告―ニセ広告が作られるわけ(Instagramに「フェイク広告」;広告主も管理できない ほか)
第2章 巨大海賊版サイトとネット広告(脅威の海賊版サイト;閲覧するだけでは違法にならない ほか)
第3章 あなたの税金も狙われている(広告業界をむしばむ「アドフラウド」;人々が寝静まったころに活動する「ボット」 ほか)
第4章 闇に消える広告費―儲けているのは誰だ!?(不正まとめサイトを追う;異常なアクセス数、「1億PV突破」 ほか)
第5章 ネット広告不正をなくすために(対策は進むのか;広告を出稿する側の対応は?―ネスレ日本の事例 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
71
クリックしてしまうだけで、意図せずして犯罪に加担している可能性があるのだと思うとひたすら恐ろしい。ネット広告を利用した手法(犯罪認定されていないものも多いのだろう)に、人の欲望はどこまで到達すれば気が済むのだろうという底なし加減も感じた。勉強の一環で読んだが、読めてよかったと思う。2019/06/20
おさむ
41
なるほど、いつもスマホやPCに出てくる広告の仕組みがよく分かりました。ITの発達とそれを悪用して金儲けしようとする輩は、日本のみならず世界中にいる。取材陣はその真相に迫ろうとします。ただ、結局、本人にあえなかったり、はぐらかされたり、形だけ釈明されたり‥‥。この問題の本音というか本質というか、とてつもない負の側面には今ひとつ迫り切れていない気もします。2019/06/27
Kentaro
38
芸能人や有名人、テレビ番組などを使って権威付ければ確実に売れる。ネット広告にくわしい業界関係者はみな、同じように説明する。複数の証言を総合すると、次のような事情が見えてきた。瘦せる。肌がきれいになる。薄毛が改善するなどと謳った商品は、コンプレックス系と呼ばれている。このコンプレックス系の商品は、店頭やレジなど、人に見られる状況で買うのは恥ずかしいという心理が働き、誰にも会わずに買えるネット販売が強い。広告の表現一つで売れ行きは大きく変わる。こうした商品は実際に芸能人とタイアップ契約し、実際に売れるという。2022/08/05
レモン
36
直近に検索したものや住んでいる市町村の分譲マンションの紹介などが表示されてわずらわしい程度にしか思っていなかった、ネット広告の闇に迫った本書。アドフラウドという広告詐欺があることを初めて知った。対策を講じてもすぐに抜け道を作り出していきイタチごっことなるのだろうが、諦めず取り締まりを強化することが重要。普段スマホで漫画を読まないので、漫画村事件については知らなかったが、昨年運営者に実刑判決が出たとのこと。詐欺に遭う・遭わないだけでなく、知らないうちに荷担しないよう情報リテラシーの習得が大事。2022/01/30
hatayan
34
間もなくテレビを抜く勢いで急速に成長するネット広告。効率よく広告を配信するプラットフォームが既にできており、「運用型」と呼ばれる仕組みで膨大な数のサイトに広告を配信する形が標準になっています。 広告不正の具体例として、世間を賑わせた海賊版サイト「漫画村」や掲示板の「まとめサイト」の関係者に取材。「アドフラウド」と呼ばれる広告費をかすめ取る手口を解説します。 「見られたら儲かる」というネット広告の当たり前の仕組みを問い直すことが、インターネットがこのまま健全に発展を続けていけるどうかの鍵になるとします。2019/06/12