出版社内容情報
日米開戦に反対しながらも、真珠湾攻撃を立案した男の苦悩――。発掘された史資料をもとに、山本五十六の実像に迫る!大好評を博した、NHK『BS1スペシャル 山本五十六の真実』待望の書籍化。
内容説明
日米開戦に反対し続けた男は、なぜ真珠湾攻撃を計画したのか?盟友・堀悌吉が秘匿した資料から、山本五十六の生涯を読みとく。初公開資料をもとに日米の研究者に徹底取材を敢行!
目次
第1部 真珠湾への道(二人の青年;西欧文明との邂逅;海軍の組織的問題;海軍航空にかける想い)
第2部 遺された手紙(真珠湾攻撃と日米開戦;反攻に出た大国アメリカ;ブーゲンビルに死す)
著者等紹介
渡邊裕鴻[ワタナベユウコウ]
1957年、三重県生まれ。海軍史家、日本海軍戦史戦略研究所(JINHS)副所長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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てつのすけ
29
アメリカとの戦争については、大まかに、陸軍が開戦派、海軍が非戦派という認識であった。しかし、海軍内部においても、開戦派と非戦派が対立し、非戦派と目される人物が予備役とされ、徐々に開戦へと進んでいったことを知った。本来、山本のようなアメリカを知った人物の情報を有効に活用しなければならないにもかかわらず、そのときの世論などの風潮で物事が決定されるのは、現在においても変わっていない。これは日本人の特性なのだろう。また同じ過ちを繰り返しそうで心配だ。2023/08/20
rokubrain
18
日米開戦に反対しつつも連合艦隊司令長官として指揮していく山本五十六の苦悩が滲み出ていた。 合理と不合理の両方を体現した人物は戦時のなかをいかに生きたのか? 海軍兵学校時代からの親友 堀悌吉の存在が彼を物心両面で支えていたのが伝わってきた。 逆も然りで艦隊派と条約派の内争人事で海軍を去った堀を支え続けたのは山本だった。 2人の男の友情から日本が置かれていた立場、硬直的な発想法や組織理論の非合理性が浮かび上がってきた。 国力もさることながら実戦を次に生かす経験主義のアメリカとの違いが情勢を悪化させていく。2023/04/08
鐵太郎
15
2014年8月11日に、NHKで「BS1スペシャル 山本五十六の真実」というドキュメンタリー作品が放映されました。この本は、その時の取材資料をもとにして、番組で描ききれなかった部分まで網羅したもの。2014年に、山本五十六の親友であった堀悌吉の残した五十六の初巻や極秘資料の原本が公開されたことで作られたとか。現代の人々が考える平和主義・軍国主義、平和と戦争の考え方がいかに浅薄なものか、時代の中で正論を唱える事がいかに難しいかを思う。五十六の私生活、芸者とのどうたらなどの雑音めいた話がない分、わかりやすい。2015/08/30
skunk_c
15
昨夏のテレビ番組の書籍化。山本の生涯の友で元海軍軍人の堀悌吉が残した山本直筆の史料などの発見を受けたもので、日米の軍人、研究者などの証言を加えて構成。アメリカとの戦争を避けたい知米家としての側面と、海軍軍人としてのリアリストな側面の葛藤を中心に描いている。内容的には従来の山本の評伝と大きな差はなく、高評価と言えるが、私生活への踏み込みはなくちょっと持ち上げすぎか。それ以上に海軍内、陸海軍の統一なき戦略についての言及がもっと欲しかった。一方堀という軍人について触れられたのが収穫。もっと詳しく知りたくなった。2015/08/22
roatsu
14
山本・堀という俊英二人が明治末から第二次大戦に至る海軍の変遷の中、何を考えどう行動したかを描く一冊。現実を知る冷静な軍人が不要な戦を避けようと努めてもそれを肯んじない愚かな意向が海軍主流ひいては当時の国全体にあったことがわかる。戦争の原因は日本のみに帰せられないが、少なくとも当時の国内がどう主戦論に傾いたかはわかるのでは。軍部の暴走という短絡的は話ではない。「天下安しといえども戦を忘るれば必ず危うし」という山本元帥が好んだ警句は普遍的で、今の日本でも安全保障を図る布石を打つ必然性を明快に言い表している。2015/07/25
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