内容説明
東日本大震災後、あらためて問い直された日本人の死生観や宗教性。現代の二賢人が、迷走する日本人の「こころ」と向き合い、人間社会の根源的な支えとしての「霊性」を論じる。教育、医療、司法、宗教の倫理的立て直しを説く内田氏(第一部)、日本的霊性のルーツに迫りつつ現代にふさわしい共生のあり方を探る釈氏(第二部)。ふたりの切実な問題意識に胸を打たれる力作。
目次
第1部 なぜ霊性を呼び覚まさなければならないか(内田樹)(先駆的な直感とセンサーの劣化について;人間社会に迫りくるもの;このメッセージは私宛である)
第2部 「日本的」霊性と現代のスピリチュアリティ(釈徹宗)(大拙の『日本的霊性』を読む;宗教的人格と霊性;霊性への道)
著者等紹介
内田樹[ウチダタツル]
武道家。思想家。道場兼学塾「凱風館」館長。神戸女学院大学名誉教授。1950年東京生まれ。専門はフランス現代思想、武道論
釈徹宗[シャクテッシュウ]
浄土真宗本願寺派如来寺住職。相愛大学人文学部教授。NPO法人リライフ代表。1961年大阪生まれ。専門は宗教思想、比較宗教(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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zag2
34
現代霊性論から4年ほど経って上梓された本。震災の混乱を経て再び内田樹さんと釈徹宗さんが対談形式での講義を行いまとめたもの。読了して多くの気づきがありました。日常の中で聞こえないメッセージを聞き取ろうとする構えを大切にしているという内田さんの話はとてもよく分かる。何となく嫌な感じがするとか、逆になんか大丈夫な気がするとか、そういうことがけっこうあって、調子が良いとよく当たる。でも当てようとして考え出すと感じられなくなってしまう。実感としてわかります。今読んで良かったなと思う一冊でした。2022/11/22
Y
29
数値化できないもの、形ないものに対するセンサーの感度を高めるのが現代人の急務なのだとわかった。一種の警鐘のような本だった。内田さんの話は毎度雑多に色んな事を語ってどこに辿りつくかわからないまま読み進めていくんだけども最後には明快に一つの道筋を照らしていて不思議だ。釈さんは関西のローカルニュースにコメンテーターとして出ていたのを見ていたきりだったけれど、興味深いお話をされる方だなぁと、他の著作も読んでみたくなった。2014/10/19
佐島楓
22
ウチダ先生はもちろんのこと、釈先生の浄土真宗論も面白かったです。現時点でのおふたりの集大成的な作品ではないでしょうか。2014/09/26
to boy
20
内田さんと釈さんの講演集。日本人の根底にひそむ霊性についてそれぞれの立場から騙っています。難しい部分もあって全部を理解できたわけではないですが、とても良かった。今まで読んだ内田さんの本で判らなかったことも「そういうことか」と納得できました。境界を守る番人の例えがわかりやすかったです。2015/07/31
ミッキー・ダック
15
霊性=宗教意識に関する二つの講義録。福島原発事故が日本人の霊的未熟に由来するとの問題意識。内田氏は、ユダヤ教研究・合気道に通底する「霊性」を語り、釈氏は大拙の「日本的霊性」を読み解きつつ浄土真宗を語る。人知を超えるものの存在、人間の認知的流動性の過剰が生み出す非人間的な部分、社会を支える四つの柱における人間的領域の境界線を守る歩哨の必要性、歩哨に必要な微細な情報を感知するリーディング能力。そこまでは理解できるが、何故それらが宗教に繋がるのか、宗教は直感でしか分からないと言われると、理解不能になる。 2014/10/28
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