内容説明
コミュニケーション能力を磨き、即戦力としてグローバルに活躍し、会社が頼りないなら起業しろ―。いったい、日本はいつまで「できる人」という幻想を追い求めるつもりなのか?雇用や労働の常識を問い直し、日本のビジネスパーソンを強迫し続ける幻想の正体に迫る。若者よ、「できる人」を目指すな。社会よ、若者の可能性にかけるな。
目次
第1章 入社式に見る平成「働き方」史
第2章 「即戦力」はどこにいるのか
第3章 「グローバル人材」とは誰のことか
第4章 そこまで「コミュ力」が必要ですか
第5章 「起業家」は英雄なのか
終章 若者の可能性にかけるな
著者等紹介
常見陽平[ツネミヨウヘイ]
1974年生まれ。北海道札幌市出身。著述家、人材コンサルタント、大学非常勤講師。一橋大学商学部卒業後、リクルートに入社。玩具メーカー、コンサルティング会社勤務を経てフリーに。38歳で一橋大学大学院社会学研究科修士課程に入学、2014年3月に修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
154
元リクルートとかいろんな経験を持った著者が今の社会の分析を行い、安易な若者の説教、起業を勧める風潮に警鐘を鳴らした一冊。中々的を得ているなと思った。逆に普通の社員を目指して一生を終えるのがいいことなのかということも考えさせられた。2014/04/30
壱萬弐仟縁
38
日本の組織や集団について回る問題だと思う。私は複数の会社からちょびちょびと賃金をもらっているので、できる人がどんな人かなんてのは顧客次第です、としか言えない。頑張れ、頑張れというが、葬式とか人の最後の骨とか見ると、何に追い立てられてその日を迎えているのか、と冷静に考える必要があると思う。強いるのはハラスメントだと思うが。’07年のキーワードは法令遵守(コンプライアンス)やコミュニケーション能力(41頁)。2015/02/17
みっくん
31
若者に過度の期待をして、惑わせ、躍らせる。そんな幻想から解放してやってよ。と、言う著者常見さんの若者好感度が上がる一冊。てか、まだ若者でいられるかな?w2017/02/09
maito/まいと
16
若者を脅迫する社会、「できる人にならなくては」という幻想に、少しでもブレーキをかけることができたら、という文章に、この本の意義が凝縮されている。日本社会が提唱している「あるべき姿」の実態を分析検証した結果は、衝撃を受けたなあ。巷で言われている「今の日本」や「これからの日本」を言葉だけで納得しちゃいけない。そして、実態が言うほどではなかったと知って、やる気を無くしてもいけない。社会が未だ定まっていないのだから、自分はどうするか見つめ直すきっかけにしなければ。結局一番厳しい道を提示する本書が一番スパルタかも。2018/09/18
masabi
16
年ごとの報道を見ることでその時の求められる人材が見えてくる。「即戦力」「グローバル人材」「コミュ力」「起業家」をキーワードに若者に求められる能力がインフレを起こしていることを示す。訓示ばかりで言いっぱなしの中高年に対し『いまこそ、中高年の「若者への説教離れ」が必要なのだ。』という一文で締められている。本題ではないが入社式の意味合いやなぜ上記の言葉が持て囃されるのかについての考察が興味深かった。2014/06/22