内容説明
童謡「ぞうさん」で知られる詩人まど・みちお。老いてなお、果てなく自由な感性の源はどこにあるのか。身辺の小さな発見を書きとめたノート、入院を機に再び描き出した絵を引きながら、百歳の日々を語る。静かな感動を呼んだドキュメンタリー番組、NHKスペシャル「ふしぎがり まど・みちお百歳の詩」書籍化。「地球の用事」「リンゴ」「れんしゅう」「トンチンカン夫婦」ほか詩一七篇を収載。
目次
第1章 「?」と「!」(百歳になりますか;書かずにおれない ほか)
第2章 タタミイワシ(子どものころ;自然の形 ほか)
第3章 二本のポプラ(夜はおっかない;お母さん ほか)
第4章 虹(無限のいのち;星の記憶 ほか)
著者等紹介
まどみちお[マドミチオ]
詩人。1909年山口県生まれ。平明かつ哲学的な詩や「ぞうさん」「やぎさんゆうびん」「ふしぎなポケット」などの童謡が愛され続けている。日本人で初めて国際アンデルセン賞作家賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やすらぎ
150
まど・みちおさん。幼少期の悲しい体験や母の優しさに触れ、世界にたったひとりの母を誇りに思う詩は有名。「ぞうさん/ぞうさん/だれがすきなの/あのね/かあさんがすきなのよ」昔を思い出すことが多くなりました。みんな幸せでありますように。…ああ、夕陽が差してきました。朝日に比べて物悲しい。これから真っ暗になります。沈みました。夜ひとりぼっちでいると寂しくて胸が痛いときがあります。…いのちという言葉があるおかげで涙を流すことができる。その涙がしみじみと我が身を潤してくれる。涙はいのちそのもの。その涙には虹がかかる。2021/03/05
keroppi
75
夜はおっかない。お母さんが大好き。ぞうさん ぞうさん だれがすきなの あのね かあさんが すきなのよ。まど・みちおさん百歳のつぶやき。幾何学的なようで可愛らしい絵。自然体で生きて、宇宙とも繋がっているような。百歳の誕生日には涙が出て虹が出て。こんな百歳を迎えられたらいいなぁ。2021/03/17
新地学@児童書病発動中
61
まどさんの詩は分かりやすいもので、誰に向かっても開かれているが、その根底には、生あるものはみな平等であるというラディカルな確信が潜んでいると思う。100歳の時のこの日記にも、その確信は繰り返し表現されていた。自分は残酷だとおっしゃっているがまどさんほどやさしい人はいない。そうでなければ、小さなアリに対して、ばかでかくて、申し訳ないという気持ちは持てないだろう。まどさんは、思い出す人すべてに「幸せでありますように」と祈っておられるそうだ。人間ができていない私は難しいことだが、今日から真似をしてみようと思う。2013/02/16
mitei
33
当時百歳で今も存命の方だがいくつになっても瑞々しい感性をお持ちの方だなぁと思った。自分が百歳になれるかは不明だがそのくらいの年齢になると周りの見え方がどうなるのか興味を持った。2012/05/05
アオイトリ
23
NHKスペシャル) 100歳を迎えた詩人まど・みちおの日記風エッセイ。ご高齢からくる身体の痛みや不調はあるけれど、遠くから生きとし生けるものを見つめる慈愛の眼差し、自分は大きな宇宙の片隅を占める小さな存在であるという認識は、変わりません。まるで良寛さんですね。死ねるもんなら死んでもいい。もう疲れているのです、という真情の吐露もあり。でもそれは神様の計らいであるという受容。アルツのハイマチャンなんてご自身をユーモラスに捉える。今日は疲れたけれど、お前のことを思い出したらほっとしたよ。家族への愛にうるっ。2023/11/10