内容説明
無差別に人を襲う若者、「うちの子だけは特別」と思っているモンスターペアレント。社会の分断化、人間関係の希薄化により、自分のことにしか興味を持てない人々が増えている。他者との繋がりを取り戻し、互いに支え合う社会をつくるには何が必要か。私たち自身の生き方を、「思いやり」の視点から問い直す。
目次
序章 忍び寄る「思いやり格差」社会
第1章 「思いやり」とはなにか
第2章 家庭が育む「思いやり」
第3章 ボランティアが育む「思いやり」
第4章 社会が育む「思いやり」
第5章 支え合う社会をつくる8つのアプローチ
特別対談 イギリスに学ぶ支え合う社会のカタチ(森嶋瑶子(著述家)・稲場圭信)
著者等紹介
稲場圭信[イナバケイシン]
1969年東京都生まれ。東京大学文学部卒業、ロンドン大学大学院博士課程卒博士号取得(宗教社会学博士)。フランス社会科学高等研究院日本研究所等を経て、神戸大学大学院准教授(人間発達環境学研究科)。主な研究分野は利他主義、宗教の社会貢献活動、スピリチュアリティ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐島楓
18
「日本人は他者への思いやりが欠けてきていないだろうか。さあどんどんボランティアをしましょう・・・」という、こちらの受け止め方からするとちょっとずれた内容。西欧諸国からしてみればキリスト教が背景にあり、礼拝中に献金袋が回ってくる。生活の一部としてボランティアがある。日本人は日本人なりに「困ったときはお互い様」と思える心、大変なことが起きたときに行動できる勇気があればいい。確かに都市部に住んでいるとそういう思いを見失いがちではあるが、ちょっとしたことで誰かの力になれ、それをひけらかさないようにするべき。2014/01/17
★★★★★
4
宗教社会学者による日本社会への提言。思いやり深い人たちと全く他人を省みない人たちに二極化された現在を、「思いやり格差社会」として認識した上で、それを乗り越えた「支え合う社会」を構築するためのアクションプランが提示されてゆきます。著者はすごくコミュニタリアンな発想の人だと思いました。こそばゆいけど、誰かが言わなくてはいけないことだとは思います。私はこの本に悪口を言えない理由があるのでこのくらいで。2010/07/28
親父
1
タイトルはクサイが、内容はよかった。2009/02/12
mimiko
0
著者は言うだけであまり行動に移さないタイプ?失敗談を出していたけど、そのせいで説得力があまり感じられなかった。イギリスのボランティア、チャリティー精神があんなにすごいのは知らなかったので、これはもっと広まって、身近なものになるといいな。2012/08/25
壱萬参仟縁
0
息苦しく生きにくい。そんな日本社会をどうしたら改善できるか、という問題意識は評者にもある。で、3.11後の思いやり概念は、本著がそれ以前の刊行なので、存在していない。であるが、思いやりが絆キャンペーンにとって代わり、公共広告機構のCMが耳にタコができていたのは、昨年の震災直後の茶の間ではなかったか。イエの論理、少子化にあって家族主義を回顧趣味でとらえる組織もあることはあるが、今後は、もっと柔軟に発想して、柔軟な発想を認める寛大さも必要に思えた。価値観の多様化といえばそれまでだが・・・。2012/05/31