内容説明
「管理職」の名のもとに、残業代も支払われず限界まで働かされ使い捨てられていく人々がいる―この問題を「名ばかり管理職」と名づけ追い続けてきたNHK取材班が、労働現場に広がるその過酷な実態とともに、それに依存して成り立つ日本社会のゆがみに迫る。平成20年3月末に放送され反響を呼んだNHKスペシャルの書籍化。
目次
プロローグ 管理職に何かが起きている
第1章 若き「正社員」の悲劇
第2章 「マクドナルド店長は管理職か」―現役社員のたたかい
第3章 データから見る「名ばかり管理職」
第4章 「名ばかり管理職」に依存する企業
第5章 手をこまねいてきた行政
第6章 とまどう企業
エピローグ 「名ばかり管理職」はなくせるのか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ごへいもち
23
2008年と古いが今でもこのような状況なのか少しは改善されたのか。厚生労働省レベルが低いなぁ。せっかく委託してまとめた報告書を無駄にするなんて…。他に忙しくて労働問題はほったらかしだという声も…2020/03/14
佐島楓
21
管理職に登用されても残業代が支払われないなどの、いわゆる「名ばかり管理職」についての本。正社員という名誉欲と引き換えに残業を強いられ健康を損なう従業員、人件費を減らしたい会社、実態を調査できていない厚労省と絡み合う問題。背景には平成不況や雇用の規制緩和などがあるのだろうが、悲惨なケースに言葉を失った。会社が社員を守ってくれない現実。おそらくデフレは増税により今後も続くのだろうし、この問題についても根深さが増すと思う。2014/01/26
おおかみ
5
今は非正規雇用の問題が専ら注目を浴びているが、それとは逆に正規雇用の労働者を襲うのが「名ばかり管理職」問題である。2008年1月28日、日本マクドナルド事件の判決が下されたことで注目されたが、それ以来はメディアで大きく取り上げられなくなったように思う。本書はNHKスペシャル「名ばかり管理職」の書籍化で、一見すると単なるルポルタージュのようだが、法的な問題が噛み砕かれて説明されているところが特長である。労基法を知らなくとも、問題の所在を把握できるだろう。2009/01/14
星辺気楽
3
こんな名ばかりの管理職のような人たちを土台にして日本の企業が成り立っているですね。いくらアベノミクスだなんだと言っても子供が増えないのは、家庭も持てない人々をこき使う企業のせい。労働者よ団結せよ!2014/05/09
アルゴン
3
★★★★ マクドナルドの事例はこの問題からするとたいへん画期的な出来事だったんだなあ、と。単に「名ばかり管理職」側から見た事例を挙げるだけでなく、会社からの視点や、管理職からはずされて不満に思う例など多角的に見られたのでよかったです。2010/01/26