内容説明
「和」の心、「思いやり」としての話術―。著者は講談界初の人間国宝。寄席の世界でも、故・柳家小さん師、桂米朝師についで三人目という伝統話芸の達人。聴衆を語りの世界に引き込んで、笑わせ、泣かせ、感動させる。その心を揺さぶる語りの極意とは?人が人に向けて話をする中で、大切なことは何か?長年の修業により培った確かな技と心を、一般向けに分かりやすく伝授する。
目次
1 話をする「人間」の態度と人柄
2 「思いやり」としての話術
3 「表現力」を高める準備と工夫
4 どんな「心」に向けて語るか
5 「花鳥風月」と「心」の色合い
6 立場を弁えて話すということ
7 話術を上達させる近道
8 「真剣さ」は人の心を動かす
著者等紹介
一龍斎貞水[イチリュウサイテイスイ]
講談師。重要無形文化財保持者(人間国宝)。本名・浅野清太郎。1939年、東京生まれ。55年、五代目一龍斎貞丈に入門し初高座。66年、真打ち昇進、六代目貞水を襲名。75年、文化庁芸術祭優秀賞。2003年、人間国宝に。「講談は守るべきものと開拓すべきものがある」を座右の銘とし、音響、照明、舞台装置など特殊効果を駆使した「立体怪談」など、斬新な活動も意欲的に展開している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mura_ユル活動
37
著者は講談師、人間国宝。弟子でお茶くみをする理由。「空気」を読めるかは一つには思いやりの差。大切なのは、必ず反省をすること。本題に入る前の「枕」には大切な役割がある。話す前の情景をはっきり想像する力。心の色合い、色のようにたくさん持っていることが大事。季節のうつろい、冬至などの「二十四節気」。日本語は中間的な表現が多彩、「利休鼠(りきゅうねずみ)の雨」。成功談は不要、失敗を話すことにで人はついていく。言い訳は成長を妨げる。寄席は日本の伝統と芸人の創意工夫があり、学び取るものが必ずある。寄席に行ってみたい。2013/08/03
ひよ亭
21
作者の写真を見て やはりこの人かと納得した。期待していた内容とは違っていたが説得力のある書き方で充分に楽しめた。2020/06/20
カッパ
19
人間国宝の方が書いた本ということで手に取った。話すことがプロの人の大切にしていることを知るのはきっと無駄にはならないと思う。1番心に残ったのは結局は近道はないということだと思う。失敗することをおそれず、きちんと反省して盗んで身につけていく。そこに人間性も含めて学んでいくのだ。2018/06/29
ユー
14
どんなに素晴らしいテクニックや話術を持っていても「心」で話さなければ、ただのエゴ。「自分とは何か」「自分がどういう人間か」しっかりと自分の立場を弁えて接する事。2016/08/25
T2y@
13
人間国宝 講談師の話し方講義。師匠に諭し語られている様で、腹に落ちる。 …『立場の違いを活かして話すことの大切さ。』 『よく勉強していて、自信があるからこそ、相手に応じて、話したい知識でも引っ込めておく。』 『自分が情景をはっきり想像する。 その想像力に、言葉は自然とついてくる。』2014/04/07
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