内容説明
世の中には難しい出来事があふれ、それを伝えるメディアの言葉も難解だ。障壁だらけの現代社会で、そうした情報を誰にもわかりやすく伝える表現とは何か。本書は、新聞記者と知的障害者が、ともに取材・執筆・編集に挑戦する新聞「ステージ」の知恵と工夫を紹介。難しい記事をわかりやすく書き、表現する試行錯誤を通して、新しいコミュニケーションを考察する、画期的な「バリアフリー文章流儀」入門。
目次
第1章 やさしい記事・難しい記事(「ステージ」誕生;O157 ほか)
第2章 わかりやすさの技法(長いと難しくなる;主語と述語の微妙な関係 ほか)
第3章 迷路のような社会(新聞語;比喩 ほか)
第4章 障害とコミュニケーション(知的障害者の文章;メモリー ほか)
第5章 ドラマから裁判まで―バリアを解く(「聖者の行進」を見に行く;アルジャーノンに花束を ほか)
著者等紹介
野沢和弘[ノザワカズヒロ]
毎日新聞東京本社社会部副部長。1959年静岡県熱海市生まれ。毎日新聞入社後、厚生省(当時)、障害者虐待取材班、児童虐待取材班などを担当。科学環境部副部長を経て現職。また社会福祉法人「全日本手をつなぐ育成会」理事・権利擁護委員長、千葉県障害者差別をなくす研究会座長などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
B.J.
6
●”こんなに一生懸命に障害者を支援しているのに・・”と私自身、直接苦情を言われたことが何度かある。しかし、たとえどんなに人格者のラーメン店主でも、作るラーメンの味がまずければ客足が遠のくのは仕方あるまい。どれだけ一生懸命に練習するまじめなプロ野球選手でも、試合で打てなければ使ってもらえないだろう。どんな世界でもサービスを提供する側の事情よりも、客の選択が商売の盛衰の鍵を握るものなのである。・・・本文より2020/02/25
tellme0112
2
前情報なく読む。2006年出発。書いてある内容はもう少し前の記事か。しかし、その時間の経過がまた一味もふた味も感じられた。原発事故、辺野古新基地建設、放射能汚染にもつながるなあと考えさせられた。医療費本人負担割合が、当時よりさらに上がってたり…。「障害者業界用語」の「本人活動」って、初めて知った。施設重視とか、親の要求は本人の要求とは違う、自分の意見を持つことの難しさ…。2015/03/07
沢山の知恵と勇気をくれた本に感謝を
1
ステージは今は休刊しているとのことで、残念。ぜひ、復刊してほしい。障害者とのコミニュケーションについては、なるほどと思うところも数多くあったし、ちょっと違うのでは?と言うところもあった。2020/09/01
huyukawa
1
知的障害にわかりやすい文章について、アカデミックではなく現場視点でまとめられている。文理解のシステムを考えるうえでは興味深い。2018/06/21
krmr
1
著者の活動、志などは立派だが、何の本だかわからない内容になってしまっている。最初のほうは「わかりやすさ」を分析する姿勢がうかがわれるが、最後は「ステージ」創刊10周年記念の寄稿文のようだ。2011/07/24