内容説明
一〇世紀に初めて中国で紙幣が発行されるや、たちまち出現した贋札。世界史上に残る、水彩絵の具による芸術的“逸品”から、アメリカを驚愕させた偽造米ドル「スーパー・ノート」まで、興味の尽きない贋札の多彩なエピソードと、防止技術の進展をひもとく。当局と偽造者の息づまる攻防は、それ自体、歴史サスペンスにほかならない。
目次
序章 世界初の贋札
第1章 日本の贋札史(日本初の紙幣にも偽造の脅威;藩札の偽造とその対策;江戸時代の技術で製造された太政官札 ほか)
第2章 世界の贋札史(中国歴代王朝贋札史;ヨーロッパでも紙幣誕生の瞬間から偽造券発生;英国での紙幣偽造犯大量処刑 ほか)
第3章 戦争と紙幣偽造(戦時における相手国紙幣の偽造作戦;ナチス親衛隊による英ポンド偽造作戦;日本陸軍による中国紙幣の偽造作戦 ほか)
終章 贋札作りは割に合わない
著者等紹介
植村峻[ウエムラタカシ]
財団法人印刷朝陽会専務理事、国立印刷局博物館顧問。1935年生まれ。58年から大蔵省印刷局に勤務。退職後、紙幣や切手の印刷の歴史や技術を調査研究する機関として有限会社カレンシー・リサーチを設立。現在は紙幣の研究家・評論家として各種国際会議に参加しつつ、研修や著作活動に取り組んでいる
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感想・レビュー
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富士さん
5
再読。贋札史というニッチなテーマですが、中国から始まって、日本やヨーロッパの紙幣使用の始まりから説き起こされているので、偽造される紙幣の宿命もあって、紙幣制度史の手軽な資料としてだけでも十分使える本です。著者の経歴の通り、あくまで技術的で個別のエピソード中心の内容ですが、紙幣の本質に根差す偽造という行為を通じて見れば、逆に紙幣がよりよく見えてくるように思います。もともと直接の価値のないものを価値の入れ物とするため人工的にでっち上げた紙幣は、それ自体偽造と見分けられるものではないのかもしれません。2018/02/11
Humbaba
1
お金を偽造することは、昔から行われてきた。印刷技術の向上と、透かしをはじめとする偽造防止技術の向上は、イタチごっこのように一進一退を繰り返している。ただし、リスクやコストを考えると、贋札をつくることはあまり効率的とは言えない。2010/02/05
kilroy
0
⭐⭐2つ。贋札とはその時代の 印刷技術と写真技術の国家との知恵比べ。紙幣って突き詰めれば共同幻想の最たるもんだな。2014/12/06
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