内容説明
新しい風景美創造の可能性を探る。環境問題の深刻化や風景の危機が叫ばれる一方で、近代以降の日本人はその意味を深く問うことはなく、都市や国土の運営においても文化の蓄積という大切な視点を欠いてきた。生産性よりも創造性に社会の関心が移り、生き方の多様性が求められる今日、長年にわたって風景創りに携わってきた著者が、その経験をもとに、様々な角度から風景の価値・魅力の源泉を語り、国土の将来を展望する。
目次
第1章 山河のたたずまい―視線が彫り出す大地の肖像
第2章 風景の棲みごこち―身体が紡ぐ空間の手ざわり
第3章 風景を読む―意味づけられた空間
第4章 風景はデザインできるか―天、地、人の造形
第5章 回遊庭園としての国土―道からの眺め
第6章 社交が育てる風景―緑地文化を変える市民参加
第7章 都市を編集する道、川、港―都市文化の基盤として
第8章 シティーとみやこ―はじめに風景ありき
第9章 脱工業社会の風景―花も紅葉もなかりけり
第10章 日本都市のゆくえ―「イエ」共同態を包む「ニワ」自然態
著者等紹介
中村良夫[ナカムラヨシオ]
1938年、東京生まれ。東京大学工学部卒業、日本道路公団技師として実務に携わり、景観の工学的研究の必要を痛感して大学へ戻る。東京大学(土木工学)、東京工業大学(社会工学)、京都大学(土木システム工学)にて、景観工学の研究と教育に従事するかたわら、市民学としての風景学を提唱。工学博士。この間、広島の太田川堤防(土木学会デザイン賞特別賞・2004年)、多摩ニュータウン上谷戸橋、羽田スカイアーチ、広島西大橋、古河総合公園などの計画と設計に景観工学の理念と手法を導入。編著書に『風景学入門』(サントリー学芸賞・1982年、土木学会著作賞・1983年)『研ぎすませ風景感覚1・2』(土木学会出版文化賞・2001年)『風景学・実践篇』(土木学会出版文化賞・2004年)など。長年にわたって監修設計した古河総合公園がメリナ・メルクーリ国際賞(ユネスコ、ギリシャ)を受賞(2003年)
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