内容説明
春ごとに花のさかりはありなめどあひ見むことはいのちなりけり(『古今和歌集』)。桜は、いのちの輝き、生きる歓びの花である。そして、五世紀の『日本書紀』いらい、日本の文化は、桜とともに歩んできた。その文化は、美しいものを倫理とする、私たちの心も育ててきた。もう一度、文化の桜、歴史の桜に触れることで、二十一世紀の日本の文化が見えてくる。
目次
花見の歴史―桜会花宴花見まで(花見日和;桜は都の花;花見の年中行事化 ほか)
西の山桜と東の染井吉野(江戸のソメイヨシノの流行;ソメイヨシノの諸説;忠魂碑の桜 ほか)
桜の妖精たち(花は桜木、人は武士;『閑吟集』の桜;衣通郎姫と桜 ほか)
逝く春の里桜の物語(八重桜咲く;桜の種類のかずかず;江戸時代には青い桜があった ほか)
桜物語のための四重奏(南殿の八重桜;銀座に桜並木があった;根尾の淡墨桜命名説話 ほか)