感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
35
京都や滋賀の、よく知る土地が多く例に取り上げられているので、非常に楽しみながら読み進めることができた。地図を手がかりに歴史を解いていく「歴史地理学」は、実におもしろい作業なのだと感じた。時には現地でのフィールドワークも行われるし、現代の地形・地名にも、古代や中世の景観を知るための痕跡が充分に残されているのは驚き。定点を見つけることがまず最初の一歩だろう。2017/02/13
mura_ユル活動
6
図書館でチラ見、江戸の選地理由の章があり、借りた。興味ない部分は飛ばし読み。選地で徳川家康の思いが良くわかる。鎌倉・小田原の不選定理由も。「織田信長の城地選定理由」や「条里制」、大阪市内の筋の由来など興味深い。序章「地図と地名に残された先人のシグナル」で著者自身も書いている、少ない資料から直感などで紐解いていくところは、推理小説のようで大変面白かった。江戸の章で江戸城築城前は、皇居や上野の場所は東京湾に面していたんですね。改めて見ると不思議。副題で「地図を解く楽しみ」。地図は確かに眺めていると楽しい。2012/10/25
上高野
1
1998年出版、何度目かの再読。地図から歴史をあれこれ推理する楽しみ、その方法や面白さを教えてくれる本。地図の見方の一端をのぞいたくらいだが、知的好奇心はつきない。ただ、見極める目や「着想」は学問的修練と広く深い知見のなせる術。先生のようにはとてもとても。2014/05/28
tyakkue
1
着想、仮説、検証とステップを踏んで説明してるのだが、着想の段階がすごい。 地図を見て昔はこの道が繋がっていたのではないかと着想を得るところなど(p87)、あまた道があるだろうになぜこの道??と思ったりしたが歴史的に意味合いがあるなど、読者である自分との知識量の違いが大きくあるせいなのだろう。 また史書にあたるだけでなく地学も知っておかねばならないなど横断的に知識が要求され大変だなと感じた。2012/01/18
ジジ
1
10年以上も積ん読いた本。アカデミズムのど真ん中にいたあの頃よりも学問て面白いなと。残された証拠や証言から人間の営為を読み解くとか、ミステリにも通じる。まぁ勿論自分でじゃなくて足利先生みたいな名探偵の鮮やかな推理をうっとりと聞くのがわたし程度じゃ関の山。2009/08/18