出版社内容情報
ひとはなぜ戦争をするのか? 戦闘と殺戮の「本質」を解き明かす
『遊びと人間』で知られる哲学者・社会学者ロジェ・カイヨワ(1913-1978)が1950~60年代の冷戦時代に綴った『戦争論』。彼は本書で、戦争の歴史に新たな光をあて、これまでなぜ人類が戦争を避けることができなかったかを徹底的に分析した。戦争を「破壊のための組織的企てである」とし、本書について「戦争が人間の心と精神とを如何にひきつけ恍惚とさせるかを研究したもの」であると記したカイヨワの複眼は、戦争が起きる状況と、それを実行可能にする人間のおぞましさを浮き彫りにした。そこには「人間はなぜ戦争に惹きつけられてしまうのか」という精緻かつ赤裸々な人間洞察があり、また人間が生み出した文明を兵器利用するという人間のおろかさ、身勝手さに対する教育の必要性を論じた。
「民族間、宗教間の対立が激化し、最新兵器によるテロや紛争が絶えない現代にこそ『戦争論』を読み直す価値がある」と、著者はいう。2019年8月に放送されたNHK・Eテレの番組テキストに、終わりの見えない戦争が続いているいまこそ「西側」的原理の見直しが必要だと説く書き下ろし特別章「文明的戦争からサバイバーの共生世界へ~西洋的原理からの脱却」、読書案内などを加えた一冊。
内容説明
『遊びと人間』で知られる哲学者・社会学者が、人類はなぜ戦争を避けることができなかったのかを徹底的に分析した『戦争論』。著者自身が「戦争が人間の心と精神とを如何にひきつけ恍惚とさせるかを研究したもの」と述べた本書を手がかりに、いまも続く戦争の「本質」を探る。
目次
第1章 近代的戦争の誕生(戦争の女神ベローナ;著者カイヨワについて―バタイユとの関係 ほか)
第2章 戦争の新たな次元「全体戦争」(国家と「死」―ナショナリズムの誕生;「全体戦争」 ほか)
第3章 内的体験としての戦争(「聖なるもの」とは何か;神なき神秘体験―バタイユの「内的体験」 ほか)
第4章 戦争への傾きとストッパー(「絶対的戦争」の翌日に;核兵器―冷戦時代の幕開け ほか)
ブックス特別章 文明的戦争からサバイバーの共生世界へ―西洋的原理からの脱却(戦争へと傾く世界;「戦いの文明」とその成就 ほか)
著者等紹介
西谷修[ニシタニオサム]
1950年愛知県生まれ。東京大学法学部卒業、東京都立大学フランス文学科修士課程修了。哲学者。明治学院大学教授、東京外国語大学大学院教授、立教大学大学院特任教授を歴任、東京外国語大学名誉教授。フランス文学・思想の研究をベースに、世界史や戦争、メディア、人間の生死などの問題を広く論じる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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