出版社内容情報
隠され続けたのは、私たちの「声」なんだーー。
「一億玉砕」から「民主主義」へ――。言葉は変われどその本質は変わらなかった戦後の日本。そんな中、それを言われると世間が困るような「声」を持つ人たちがいた。酒におぼれる小説家・上原、既婚者・上原を愛するかず子、麻薬とアルコール中毒で苦しむ弟・直治。1947年に発表され爆発的ブームを巻き起こした『斜陽』に描かれる、生きるのが下手な彼らの「声」に、太宰治が込めた思いとは何だったのか。彼らが追い求めた「自分の言葉で」「真に人間らしく」生きるとはどういうことなのか。太宰が「どうしても書きたかったこと」に作家・高橋源一郎が迫る。秀作『散華』に焦点をあてた書下ろし特別章「太宰治の十五年戦争」収載。
内容説明
「一億玉砕」から「民主主義」へ―。標語は変われど、その本質は何も変わらなかった戦後日本。そんな中、それを言われると世間が困る「声」を持つ人たちがいた。酒におぼれる小説家・上原、既婚者・上原に恋するかず子、麻薬中毒に苦しむ弟・直治。彼らの葛藤とその「声」に、太宰治が込めた思いとは何だったのか。一九四七年に発表された爆発的ブームを巻き起こした『斜陽』に、太宰文学の核心を見る。
目次
第1章 「母」という名の呪縛(太宰治についてのエトセトラ;『斜陽』に関するエトセトラ ほか)
第2章 かず子の「革命」(「人間」になる;恋=革命 ほか)
第3章 ぼくたちはみんな「だめんず」だ(直治の遺書;上原の呟き)
第4章 「太宰治」の中にはすべてが入っている(「更新」し続ける「新しさ」;女たちの「声」 ほか)
ブックス特別章 太宰治の十五年戦争(その頃、みんなは;太宰治が選んだ、第四の道)
著者等紹介
高橋源一郎[タカハシゲンイチロウ]
1951年、広島県生まれ。作家。1981年「さようなら、ギャングたち」で第4回群像新人長篇小説賞を受賞しデビュー。1988年『優雅で感傷的な日本野球』で第1回三島由紀夫賞、2002年『日本文学盛衰史』で第13回伊藤整文学賞、2012年『さよならクリストファー・ロビン』で第48回谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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