内容説明
国民の半数以上が「住み慣れた家で逝きたい」と望んでいる。それを実践しようとした人びとは、どのように最期を迎えたのか。自らカメラを回し、複数の患者や家族に密着取材したNHK BS1スペシャル「在宅死“死に際の医療”200日の記録」のディレクターが、一人ひとりの「いのちの終いかた」を丹念な筆致で綴った。「亡くなった患者さんたちに教えられたことを、一人でも多くの人に知ってほしい」という著者の思いが詰まった書。
目次
序章 風変わりな医師
第1章 子が親を看取る
第2章 親が子を看取る
第3章 伴侶を看取る
第4章 独居の病人を看取る
終章 在宅医療のこれから
著者等紹介
下村幸子[シモムラサチコ]
NHKエンタープライズエグゼクティブ・プロデューサー。東京都生まれ。1993年、NHKエンタープライズに入社し、ドキュメンタリーを中心に番組を企画制作。主な番組に「こうして僕らは医師になる―沖縄県立中部病院 研修日記」(第50回ギャラクシー賞選奨受賞)等(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yamakujira
3
NHKスペシャルで放映した番組を書籍化したらしいけれど、番組もその後の映画も知らなかった。8人の実例には、看取りに至らず介護中の夫婦や、病院で死を迎える老女もいるから、在宅看取りばかりじゃないものの、在宅医療の実状を伝えるきっかけになるように、こんな番組や書籍が増えるといいな。一方で美談になりがちだから、訪問診療をしながら看取りを拒む無責任な医療機関や、セデーションの知識に乏しい医師や、経済的物理的時間的精神的な家族の負担とか、そろそろ負の側面も追及しないと在宅医療が食い物にされそうだ。 (★★★☆☆)2022/09/25
Incisor
3
在宅医療チームのメンバーはもちろんとても頼れる存在で、それ以上に著者の、見届けるまなざしが何とも心強くあたたかい。ドキュメンタリーのプロデューサーを超えた人間力を感じた。患者としても家族としても公にすることはためらわれるような人生の節目だけれど、著者がそこにもしいたら、逆になんとか完走できそうだと思う。2021/02/03
okatake
1
NHKのプロデューサーの著者。自身の制作番組に基づいて新たに原稿を起こしました。番組自体は視聴しておりませんが、埼玉県新座市にある在宅診療所を舞台に人生の最期をどうやってお終いにしたのかを丹念にたどった記録です。 8名の事例が紹介されていますが、医療とは何か、人の生と死は何かを考えるには良い書です。2019/11/04
め
0
こわかった。とくに103歳の話。長生きすればいいってもんじゃないなと思ってしまった。在宅看取りがあってる人とあってない人は確実にいるなと思った。自分が在宅看取りが合ってないのに在宅看取りを希望してしまうと全員不幸になる。2023/04/15
カリメロ
0
放映されたドキュメントをもう一度反芻したくて。病院死でなく、在宅死をかなえるためにできることを考えたくて。つくりものでなく、本当のいのちの終いかたは尊かった。2021/08/31