出版社内容情報
和歌・漢詩など数多くの作品を遺した江戸時代の禅僧・良寛。哀感をたたえた作品は今もファンが多い。その生涯と作品に加え、彼が敬愛してやまなかった道元との思想史的関係についても考察。
内容説明
今、ここ、あなた自身―ありのままの自分を見つめよ。何不自由のない生活から、何も持たない暮らしへ。生き方に迷ったら、良寛に帰ろう。その核心を読み解く。
目次
第1章 ありのままの自己を見つめて(昼行灯と呼ばれた少年時代;まったく名主に向いていない ほか)
第2章 清貧に生きる(諸国行脚を終えて越後に帰った良寛;昔の仲間や土地の人々との交流を楽しむ ほか)
第3章 「人」や「自然」と心を通わす(どん底に生きているからこそ、弱者に共感できる;無邪気な子どもたちに人間の本質を見た良寛 ほか)
第4章 「老い」と「死」に向き合う(老いを愚痴ることなかれ;老いることは悪いことばかりではない ほか)
ブックス特別章 良寛さんの仏教理解(注を入れたくなる「良寛詩」の魅力;良寛さんの仏教は「悟りから庶民信仰まで」 ほか)
著者等紹介
中野東禅[ナカノトウゼン]
1939年静岡県生まれ。僧侶。駒澤大学仏教学部禅学科卒業、同大学院修士課程修了。京都市・龍宝寺前住職、曹洞宗総合研究センター教化研修部門元講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きみたけ
62
NHK出版の100分de名著より良寛詩歌集をチョイス。今年の定期演奏会で良寛と貞心尼を題材にした合唱曲に取り組んでおり、基礎知識として良寛の生き方・考え方を知るために読んでみました。子どもたちと手まりをついたりかくれんぼしたり、どこかフワッとしたイメージのある良寛ですが、弱者に寄り添う立場から世の中を見据えた乞食僧として、「どん底目線」で人間の座標軸を示そうとした生きざまを漢詩と和歌の目線から追いかけています。生きるために立場や地位を求めることには興味を抱かない境地、今後見習いたいと思いました。2023/08/03
らる
5
良寛の特徴は「どん底目線」から目指した「悟り」、漢詩・和歌を用いた「徹底した言語化」である/社会の矛盾に気づき「自分の求めている世界」を求めて思い切った行動に踏み出した/「乞食は三日やったらやめられない」社会から完全に逸脱すると、不思議と気持ちが解放される/他人の気になる行動を見てもそれを直接注意はせず、自らの教訓とする/誰とも比べず、自身を拠り所にして生きるからこそ心穏やかでいられる/求めるように祈るのではなく、感謝するように祈る/「知る」とは「なる」こと。体験してはじめて知ることができる2021/12/12
ミー子
3
良寛さんの人柄や学識の深さが感じられる良書。飄々とした生き方に見えるが、それは仏教経典や古典文学への深い学識に裏打ちされてのものだったんだと思う。良寛さんは、寺という財産やしがらみを持たないことを選び、仏教僧としての本当の生き方をした人だと感じた。2022/03/21
まのん
1
昼行燈の子供時代や晩年の姿はよく取り上げられるが、良寛さんのお寺での修業時代、酒好き、乞食旅での姿が詳しく書かれていて興味深かった。 生涯身を立つるに慵(ものう)く、騰騰、天真に任す。 嚢中、三升の米、炉辺一束の薪。 誰か問はん迷悟の跡、何ぞ知らん名利の塵。 夜雨草庵の裡、双脚等閑に伸ばす。 詩や歌を通して物事の本質を見つめ続けた良寛さんの姿を「どん底目線」と「徹底した言語化」として本書では表現している。 2017年初版の本ですが、このころからSNS等でよく聞く“言語化”という概念があったのか。 2025/04/20
源次/びめいだー
1
良かったです。2023/12/13
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- 和書
- 動都 移動し続ける首都