出版社内容情報
平安中期、清少納言が綴った日本最古のエッセイ集「枕草子」。当時、初めて散文に取り入れられた風景描写、男女間のエチケットなど、作者独自の観察力・批判力に注目する。
内容説明
季節の美しさを、時間の観点から切り取る。「春はあけぼの」の章段で清少納言が提示したのは、それまでにない斬新な視点だった―。平安中期、中宮定子に出仕した作者が独自の観察力・批判力で綴った『枕草子』。約一〇〇〇年前に書かれた最古のエッセイ集でありながら、現在に通じる礼儀作法や男女間のエチケット集としても読める、その普遍的な魅力に迫る。
目次
はじめに 描写力抜群のマナー集
第1章 鮮烈な情景描写
第2章 魅力的な男とは?女とは?
第3章 マナーのない人、ある人
第4章 エッセイストの条件
ブックス特別章 女の才能、花開く―清少納言と紫式部と和泉式部
著者等紹介
山口仲美[ヤマグチナカミ]
1943年静岡県生まれ。お茶の水女子大学卒業。東京大学大学院修士課程修了。文学博士。埼玉大学名誉教授。専攻は、日本語学(日本語史、擬声語研究)。1977年、日本古典文学会賞受賞。1987年、金田一京助博士記念賞受賞。2007年、日本エッセイスト・クラブ賞受賞。2008年、紫綬褒章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あきあかね
19
山口仲美さんの日本の古典についての本は、どれも物語の面白さがありありと感じられ、著者自身が研究を楽しむわくわくする思いも伝わってくる。 本書で取りあげる枕草子についても、その魅力を余すことなく教えてくれる。例えば、季節の美しさを、夜明け、夜、夕暮れ、早朝といった時間の観点から切り取る斬新さ。例えば、月夜に川を渡る牛車によって、水晶のようにきらめく水しぶきといった情景描写の清冽さ。お坊さんの顔がよくないとついよそ見をして説経の内容をたちまち忘れてしまうといった、時折見せる軽妙さも、⇒2023/05/03
あむぴの
16
清少納言が残したこと。残さなかったこと。2015年9月、NHK出版。2018/11/30
氷柱
11
372作目。12月17日から。枕草子の原文に当たりたいのだが、いきなりだとちんぷんかんぷんなまま飽きてしまいそうなのでソフトなところから当たってみることにした。ちなみにこの一冊前に漫画で解説している作品を読み込んでいるのである程度の下地はできている。清少納言という人物が何に惹かれてどういったものに興醒めしてしまうのかがよくわかる一作。教養が備わっているだけでなく感受性が豊かである人物だということが読み取れる。紋切型の文章を書くよりも率直な文章を書いた方が後世まで語り継がれる。2017/12/18
たか
10
若者言葉風?な現代語訳がなかなか面白い2018/01/05
マカロニ マカロン
6
個人の感想です:B。読書会の課題本で「枕草子・上」桃尻語訳(橋本治)を読んだが、昭和末期の女子高生語がどうにも鼻につき、さらに本文を上回る注釈がこれも桃尻語で書かれてて、読みにくかった。そこで、NHK「100分de名著」シリーズを読んでみた。「描写力抜群のマナー集」と書かれてて、納得した。枕草子のテーマは3つ。「もの」シリーズ、「眺める」客観的描写文、そして、「除目」などにまつわる人間観察。「説教の講師」はイケメンがいいとか、清少納言の元夫の橘則光とのワカメのやり取りなど知らない魅力もわかりやすかった。2019/06/13