内容説明
アレクサンドル二世時代に生まれたロシア式テロリズムは、二〇世紀のテロリズムの先駆けとなった。だから、すでに地中に朽ちて久しいアレクサンドル二世時代のテロリストたちを煽っていたのとまったく同じ言葉や思想が、今日の新聞にも登場するのだ。彼らはテロリストの草分けだった。おまけに「テロとの戦い」という考え方までもが、同じくアレクサンドル二世および彼の時代の産物なのだ。“ロシアの悲劇四部作”完結。
著者等紹介
ラジンスキー,エドワード[ラジンスキー,エドワード][Радзинский,Эдвард]
1936年生まれのロシアの作家。1960年代からソ連で劇作家として華々しく活躍した。1990年代には歴史ドキュメンタリー小説の分野に転じ、膨大な資料を駆使してロシア最後の皇帝の運命を描いた『皇帝ニコライ処刑』やスターリンの伝記『赤いツァーリ』、新資料の発見により通説を覆した『真説ラスプーチン』(邦訳はすべてNHK出版)で国際的な名声を得る。テレビの文化番組の解説者としても名高い。現代ロシア文壇を代表するスター的存在である
望月哲男[モチズキテツオ]
1951年生まれ。東京大学大学院人文科学研究所博士課程単位取得退学。北海道大学スラブ研究センター教授
久野康彦[キュウノヤスヒコ]
1967年生まれ。現在青山学院大学、東京芸術大学、放送大学非常勤講師。東京大学より博士号取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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トミーチェ
3
面白い歴史小説、ロシア人の見たロマノフ朝末期政治的対立や文人層にも浸透した革命思想、社会的傾向も触れていて新鮮な目線が得られた。作中何度もヒヤッとさせられたのは、『法の裁きよりも正義の裁きを重視するロシア的心性』という文言。正義。個人毎に違いあやふやで、それでいて反論し難いそんな息苦しさを感じる言葉。炎上案件にみる圧殺の風潮は、まさにこの『正義の裁き』ではないか? そんな薄ら寒さが全編漂う。ロシア革命に至る混乱の一端を理解するのに相応しい読み物だった。2017/10/10
松本
3
締めくくりのところでテロリストが処刑されずに赦されていたならというイフを書いているが、そこはアレクサンドル2世が暗殺されずに政策が遂行されていたならのイフの方が期待が大きいと思われる。2017/08/16
nukuteomika
0
テロリストたちの生き様の方に惹かれた2010/06/11
takao
0
ふむ2025/04/21
茅野
0
名著。上巻合わせて一気読み。心の底から推薦したい。2018/09/28
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- 和書
- 校長室の風