プーチニズム―報道されないロシアの現実

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  • サイズ B6判/ページ数 397p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784140810545
  • NDC分類 302.38
  • Cコード C0098

内容説明

北オセチア学校占拠事件が起きたとき、対策本部が最優先したのは、プーチンの意向を知ることだった。人命よりもイデオロギー、それがロシアの現実だ。独裁制復活へ向かう国家によって自由な生活を奪われながらも、懸命に生きようとする市民に光を当てる。さらに踏み込んだ取材で、汚職まみれの司法、新興財閥の専横、軍の放埒ぶりを暴いた、ロシア人ジャーナリストによる意欲作。

目次

第1章 ロシア軍兵士とその母たち
第2章 わが友の行方
第3章 公金横領を政府に黙認させる法
第4章 地方で起こっていること
第5章 ロシアの戦争犯罪人たち
第6章 「ノルド・オスト」―絶滅作戦現代史
第7章 プーチン再選

著者等紹介

ポリトコフスカヤ,アンナ[ポリトコフスカヤ,アンナ][Политковская,Aнна]
ロシア人ジャーナリスト。1980年、国立モスクワ大学ジャーナリズム学科卒業。モスクワの新聞「ノーヴァヤ・ガゼータ」紙評論員。1999年夏以来、チェチェンに通い、戦地に暮らす市民の声を伝えてきた。「ロシアの失われた良心」と評され、その活動に対して国際的な賞が数多く贈られている。フランス語版『チェチェン―ロシアの恥辱』(ロシアでは未刊行。未邦訳)は、2003年国際ルポルタージュ文学賞「ユリシーズ賞」を受賞。2002年、モスクワの劇場占拠事件では武装グループから指名され、交渉役を務めた。2004年、北オセチアの学校占拠事件の際、現地へ向かう機上で、何者かに毒を盛られ一時重態に。現在は執筆活動に復帰している

鍛原多恵子[カジハラタエコ]
翻訳家。1977年、米国ニューカレッジ卒業(哲学・人類学専攻)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

76
04年プーチン大統領が再選された時期に書かれた本。作者は、事実上法の埒外にあり将校が権力を濫用する軍隊や賄賂と政府の意向に靡く司法制度、「対テロ作戦」の名の下に国家ぐるみの人種差別が行われている「ロシアの日常」の事例を掬い上げ、それをプーチンのイデオロギーの反映だとして糾弾します。同時にチェチェン侵攻や政策説明もない大統領選を容認して彼を「図に乗らせた」ロシア国民と、そんなロシア情勢を落ち着いているとして牽制もしない西側の責任も追及していて、今日の事態に至る世界の欺瞞を看破されたような気持ちになりました。2022/04/05

燃えつきた棒

31
アンナ・ポリトコフスカヤは、モスクワの新聞「ノーヴァヤ・ガゼータ」紙の評論員だった。 第二次チェチェン紛争やウラジーミル・プーチンに反対し、批判していた。/ 第六章「ノルド・オスト」ーー絶滅ザクセン現代史: 「ノルド・オスト」とは、「モスクワ劇場占拠事件」(2002年10月23日、チェチェン共和国の独立派武装勢力が起こした人質・占拠事件)である。 40-50人の重武装のテロリストが、観客ら922名を人質に取った。/2024/05/20

ポテンヒット

13
ロシアの警察、司法の汚職と腐敗に唯々驚く。法律はあってないようなもので国家の意向に沿うように処理される。兵士は上官の奴隷として(比喩ではなく)使役させられる。第2次チェチェン戦争の頃の事が書かれているのに既視感を覚えるのは、チェチェンをウクライナに置き換えて読むとまさに今同じ事が行われているからだ。全ては〝対テロ作戦のため〟として戦争を正当化する。プーチンの言葉「我々は犠牲を惜しまない。惜しむだろうなどと期待するな。たとえそれがどれほど大きな犠牲だったとしても…」2024/05/18

Marcel Proust

11
この本を読んで、ポリトコフスカヤは超一級のジャーナリストであると感じた。戦争犯罪者プーチンの本質は20年前から一貫して変わらず、官製メディアのプロパガンダでは決して分からないロシアの現実を描き出している。ロシア軍の驚くべき腐敗、完全に腐りきった司法制度、チェチェン人への人種差別、そして侵略戦争と虐殺に対して良心が沈黙したままのロシア国民。ウクライナ侵略戦争に至るまで、西側含め我々はプロパガンダを剥がしたロシアの醜い現実を「見て見ぬふり」していたのだ。著者のジャーナリストとしての勇気は、本当に感嘆する。2023/09/19

タキタカンセイ

6
「ウクライナ侵攻、10代の素朴な疑問 今の時代になんで戦争?」という記事があったがこの本を読めば答えはすぐわかる。«今までこのやり方でやってきたし、うまくいってきたし、(ほとんど)誰にも文句を言われなかったから»。その数少ない「文句を言ったひと」がアンナ・ポリトコフスカヤさんです。彼女は2006年10月7日に暗殺されました。ちなみに10月7日はウラジミール・プーチン氏の誕生日だそうです。2022/04/02

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