内容説明
新世界の「発見」、異端審問、セルバンテス、ベラスケス。時代環境と天才たちのせめぎあいが生んだ栄光と混迷の文化。
目次
プロローグ スペインと日本の出会い
1 「歴史」近代スペインの誕生
2 「思想」スペイン的「生」の思想
3 「文学」文学がおりなす錯綜の世界
4 「芸術」王家の芸術擁護
エピローグ 現代に息づく黄金時代
「スペイン黄金時代」年表
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
A.Sakurai
2
15世紀〜16世紀のスペインのいわゆる「黄金時代」について政治,思想哲学,文芸,芸術を解説.目を引いたのは思想分野で通奏低音として血の純潔性が重くのしかかっていることを解説していた部分.もともとイスラム教,ユダヤ教,キリスト教が共存していた点に特徴があったわけだがレコンキスタの完成を期にイスラム,ユダヤが排撃され古くからのキリスト教徒であることに強い正当性を求められる.異端審問所による抑圧は知識人層に多かったユダヤ系の人々の精神に重くのしかかる.それが思想哲学に影響したという.2014/07/20
ELW
0
“黄金時代”がこれほど考察できる語句とは思わなかった。 レコンキスタとスペインとしての統一、そこでの反ユダヤと 反イスラーム。ヒトラーとスペインの反ユダヤはつながるのかな。フェルナンドの血統には驚愕した。ともあれ、多くの 異分子的要素がスペインを豊かにしたことと、情熱的な部分と内向きな部分とからなる複雑性も少し分かった。あ、インフレ下での輸入奨励・輸出忌避は衝撃だった。絵画も随分勉強した気になっていたが、怜悧な画風のスルバランは知らなかった。2017/10/16