内容説明
崩れた一党支配、民族独立の悲願。社会主義70年を支えた中央指令型体制が生み出した現実とは何か。選択を迫られる大国ソ連の苦悩その核心に迫る。
目次
第1部 バルトの悲劇(バルト三国の苦難;帝国的秩序を働くバルト三国)
第2部 一党独裁の崩壊(脱イデオロギーに向かう社会;一党支配の終焉;ソ連型社会主義への再検討)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紙狸
20
1990年刊行。タイトルの「バルトの悲劇」とは、バルト3国が1940年にソ連により強制的に併合されたことを指す。1990年当時はなまなましい証言がひろえた。米国はソ連による併合を認めなかったことが外交官へのインタビューで紹介されている。2023年にリトアニアで演説したバイデン大統領もこの米国の政策を誇っていた。ただ、(これは未確認だが)米国もたとえばソ連相手に通常戦力を巡る交渉をする時は、バルト3国をソ連側にカウントしていた。国際関係は複雑。一方に原理原則あり。他方、現実の行動に幅あり。両方見なくては。2023/07/21
へたれのけい
3
「ソ連型社会主義への再検討」(ユーリィ・アファナーシェフ)の文には、知性や経験、そして強い信念が感じられます。実に見事に、ばっさりと斬っています。2015/06/28
TSUJINO Yusuke
1
☆☆☆☆2025/05/20
哲
1
第二次世界大戦後の、バルト三国の悲劇の歴史が語られる。強国に挟まれ、翻弄される。社会主義に興味を持ったのは昨今の経済自由化によって格差社会が進んできたからであり、社会主義的な歴史や政策から何かを学べないかと思ったからだが、バルト三国の近代に見られるのは悲劇の爪あとばかり。東欧革命・ソ連崩壊の後、彼らも自分たちの足で歩み始めたが、かの地で社会主義に苦しめられた歴史がどう生かされるかに、俺はとても興味がある。もう一章は、ソ連内部の改革について。ゴルバチョフの苦悩。社会主義国家として、生きる道はないのかの模索。2010/08/25
muny
0
アふぁなーしえふのインタビューが一番良かった。後はすでに故事。60年代の学生運動はこんなのによく騙されたよね。2021/07/13
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- ペンと剣 ちくま学芸文庫