内容説明
芹沢鴨暗殺、池田屋襲撃、禁門の変などに関わり、永倉新八に「沖田は猛者の剣、斎藤は無敵の剣」と語らしめた。剣による命のやりとりから、兵による戦へと変わっていく激動の幕末を生き抜き、新選組隊長として会津戦争に参戦。警察官として明治の世まで命をつないだ一人の漢の半生を描く。新選組三番隊隊長を描く渾身の書下ろし時代小説。
著者等紹介
吉川永青[ヨシカワナガハル]
1968年東京都生まれ。横浜国立大学経営学部卒。2010年、『戯史三國志 我が糸は誰を操る』(講談社)で、第5回小説現代新人賞奨励賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
巨峰
70
斉藤一を主人公にした新選組もの。斉藤一は不思議な人で、暗殺剣を使えば、スパイもする、意外と最後付近まで新選組に準じ、と思えば改名して警視庁に入庁する。その彼の人となりを、無理なく伝えた作品です。まぁ、江口洋介のイメージではないなぁ。近藤土方が割と平凡に書かれていたりもするので、賛否両論はあると思うけど、本当はこうだったのかもと思えなくもない新選組はなかなか新鮮でした。最後はちょっと駆け足だったかな・・・油小路の戦いが大きく取り上げられています。2017/11/05
Die-Go
64
図書館本。新選組副長助勤・斎藤一の生涯を吉川永青の筆で追う。なかなかに興味深い斎藤一の描かれ方で、楽しく読めた。近藤勇が凡人として描かれているのは残念なところだったが。最後はちょっと駆け足で通りすぎてしまった観は否めないが、それでも斎藤一の生涯のハイライトを描くには充分だったか。★★★☆☆2017/11/17
ち~
26
斎藤一といえば、ついついアウトローで無口で…と少し実年齢より上を想像してしまうけれど、ここではまだ青く、フレッシュな印象で描かれている。沖田総司とは「総ちゃん」「一君」と呼び合うなど、お茶目な一面も。試衛館から会津戦争末期あたりまでを書かれているが、徐々に戦法が変化していき、「争い」ではなく、「闘い」にこだり続けたところがカッコいい!面白かった。2017/05/08
ハッチ
26
★★★★★今まで読んだ新選組と違った。斎藤一と言えば無類の人斬りで、寡黙で喋らず、人付き合いもなく明治維新後も生き残った強者という感じだが、本作では沖田総司の事を「総ちゃん」と呼び、近藤勇や土方歳三にもよく意見する。まぁ、無類の人斬りには変わりないが。近藤勇もカリスマ的存在と思っていたが、専横が過ぎて幹部から局長の切腹の建白書を出されていたり、なかなか、今までの新選組と違う一面が見えて面白かった。新選組とか好きな方は読む価値あり。2015/06/05
就寝30分前
25
新選組の本は何冊か読んだが、斎藤一を主人公にしたものは初めてだった。命を懸けた闘いに喜びを求める姿は、某有名漫画の斎藤一に通じるものがあった。ただ漫画と違い、取って付けたような正義は無かった。エピローグは漫画にしてもいいくらい狂気を宿したカッコいいジジィだった。ところで、話に全く絡んでなかったが吉村貫一郎の名が出てきた。とても嬉しかった。実在の人だったのかなぁ。2016/10/08