内容説明
医療崩壊が進む日本で、従来の医療制度や状況に不満を持つ先鋭的な医師たちが、大物政治家を後ろ盾に、日本全医療協会(JAMA)を発足させる。彼らは斬新な提案を次々と発表し、多くの医師を取り込んで、医療界における一大勢力となり、安楽死法の成立を目指す。万策尽きて施された安楽死に苦悩する医師や遺族、医療を政治の道具にしようと目論む政治家などが繰り広げる物語をとおして、崩壊の危機にある現代医療を展望し、日本に安楽死は必要なのかを鋭く問いかける。
著者等紹介
久坂部羊[クサカベヨウ]
作家・医師。1955年大阪府堺市生まれ。81年、大阪大学医学部卒業。外務省外務医務官として、サウジアラビア、オーストリアなどの日本大使館に勤務。その後、老人デイケア、在宅医療などの老人医療に従事。2003年『廃用身』(幻冬舎)で作家デビュー。第二作の長編、『破裂』(幻冬舎)では医療過誤と医療の国家統制を劇的なミステリーとして描き上げベストセラーになる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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それいゆ
96
病室でベッドに横たわる胃ろうを付けた高齢者をよく見かけます。数日後に同じ部屋を訪れると、その方はもういないことが多々あります。現在30万人の方が胃ろうを付けているそうですが、延命だけの目的という方も多いのでしょう。本人は意識がないので、家族の希望による延命治療なんでしょうが、そこまでして生かすべきなのか?という疑問でいっぱいです。胃ろうをはずすことは殺人罪なのでしょうね?私は、そんな治療は絶対に嫌だと思っていますが、その時が来たときに今と同じ気持ちでいられるかどうか、家族がどう判断するか不安です。2014/10/31
miww
53
安楽死推進派、反対派の壮絶な闘い。二転三転する両者の形勢、黒幕にとって邪魔な人間が次々といなくなる成り行きに後半は一気読み。医療当事者、政治家、ジャーナリストそれぞれの思惑が絡み合う。個人的には安楽死はあり、と思っているが実際、法が施行されれば多くの問題が出るのは否めない。やはりあってもなくても困るという非常に難しい法律なのだと痛感した。周りの人間の言動に揺れる白川医師に「しっかりしろ」と思いながら、読み終えてみると現場にいる人の中でいちばん人間味を感じた。2015/11/23
忍者千乗りの門戸開放
49
安楽死や延命治療、そして日本の医療のあり方を巡る問題をテーマに…政治、医療、製薬会社、マスコミなど、色々な視点から切り込んだ作品。 センセイとは誰なのか?最後まで明らかにせず、そうだったんだ!でしたね〜。 白川先生だけは、最後まで意思を貫いてくれて良かった! 久坂部作品は医療に関する諸々について、問題提起してくれる作品ばかり。 安楽死についても、医療新秩序についても、考えさせられました。 ありがとうございました!2020/08/26
ゆみねこ
42
安楽死を法制化するために政治家や官僚に取り入り強大な力をつけて行くJAMA。代表新見や政界の長老佐渡原をあやつるセンセイの正体は?人の命を預かる神の手の意味は何なのか、スピーディーな展開で一気に読めた。安楽死についての問題から、医師会とJAMAの対立や政治がらみの問題が多くなってしまったのは残念だったけど、命のあり方に一石を投じた作者の意図には共感出来る。マスコミを使った世論操作とか、本当にありえそうで恐ろしい。医者は人の命を慈しむ存在であってほしいものだ。2012/11/26
あみやけ
40
上巻で期待値を上げすぎたため、肩すかしをくった感じです。生死について考えさせられましたが、展開に現実味が無さすぎ、かなり強引な感じでしたね。それでもほぼ一気読みでしたが★3.52023/09/10
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