内容説明
詩人シファは、毎年インドを訪れている。旅人の心はそのときどき、傷つき、挫折し、悩んでいたに違いない。それでもインドはいつも同じように、彼の固くなった心をときほぐしてくれた。したたかに生きる人びととの出会いが、新しい一日を迎えるエネルギーを与えてくれるのだ。オンボロ宿屋の主人、マンゴージュース売りの老人、闇夜の盗賊、無賃乗車のサドゥ、大衆食堂の店主、絵はがき売りの少女、鳥占い師…。皆、金も家もない貧しさの中で、本当の意味で生きている。彼らが旅人に授けてくれる人生の悟りはこのうえなく味わい深い。生と死が背中合わせ、貧しく汚らしい問題だらけにみえるインド社会。そのうわべだけを見ている者には気づかない本物の人間の姿を、ユーモアたっぷりに描き出す、珠玉の一編。
目次
神はどこにいるか
マンゴージュース
友だちの妹の結婚式
猿が球を落とした場所から、もう一度始めよ
わが魂の宿
鳥占いの男
聖者とパパイヤ
毎年日付が変わる祭り
ハリ・オーム・カフェ
バスの屋根の上の語り部〔ほか〕
著者等紹介
リュシファ[リュシファ]
1959年生まれ。慶煕大学国文学科卒業。韓国の代表的な詩人、エッセイスト、翻訳家。1980年、韓国日報新春文芸詩部門賞受賞。革新的な詩誌を創刊して文壇に一大センセーションを巻き起こすが、圧制的政権に支配された社会に失望し、83年から創作活動を中断。ヨガ、瞑想、仏教などを学びはじめ、精神世界に関する欧米の書物を多数翻訳。89年から毎年インドを旅し続ける。91年に、7年間の沈黙を破って出版した詩集は100万部を超えるベストセラーとなる。以後、出版された詩集はいずれも100万部前後のベストセラー
米津篤八[ヨネズトクヤ]
1958年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。朝日新聞社勤務を経て、翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。