内容説明
アメリカ留学中の1985年、見に覚えのないスパイ容疑で国家安全企画部(現韓国国家情報院)に逮捕され、無期懲役の宣告を受け、投獄から5年、ファン・デグォンは心身ともに疲弊し、もはや生きる意味を見失っていた。そんなときふと目にとまったのが、刑務所の片隅にうごめく虫や人知れず咲く野草の生命の営みだった。自分のからだ以外に見るべきものもない独房のなかで、自らの命の延長をそこに見いだしたのだった。本書は、釈放されるまでのあいだ獄中から妹に宛てて送られた書簡集である。素朴な水彩画を描く著者の穏やかなまなざしの奥には、絶望の果てに生命の限りない力を見いだした者の喜びがあふれている。
目次
1 安東刑務所にて1(92~93年)(わたしの小さな野草園;ハツカネズミというやつら ほか)
2 安東刑務所にて2(94年)(種;根気強くも、調和と均衡を保って ほか)
3 安東刑務所にて3(94年)(目標物ににじり寄る無限の忍耐心―カマキリの生態に関するレポート第一弾;ヤハズソウ―食べられもしないのに、そのすざまじい成長ぶり ほか)
4 大邱刑務所にて(94~96年)(大邱刑務所へ移監;Kwon Field ほか)
5 大田刑務所にて(97年)(大田刑務所へ移監;「胃大」なるアオガエル ほか)
講演録 根をはって
著者等紹介
ファンデグォン[ファンデグォン]
1955年ソウル生まれ。著述家、生態共同体活動家。ソウル大学農学部卒業。その後、政治学を学ぶためにアメリカへ留学。留学中の1985年、身に覚えのないスパイ容疑で、国家安全企画部(現韓国国家情報院)に逮捕され、無期懲役の宣告を受ける。特赦によって釈放されるまでの13年2か月間、牢獄生活を送る。釈放後、農業を始める。1999年、アムネスティ・インターナショナルの招きで2年年ヨーロッパに滞在し、ロンドン大学インペリアルカレッジで農業生態学を学んだ。現在、生態共同体研究会を主宰するとともに、緑色大学に生命農学教授として在籍
清水由希子[シミズユキコ]
1973年生まれ。東京都在住。翻訳家。横浜市立大学文理学部卒業
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感想・レビュー
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