内容説明
イエスは自分が神の子でありメシアであることを最後まで疑っていた。一方、イエス磔刑を認めたローマ総督ピラトは消えた死体の謎を、現代人と同じように合理的に解明しようとした。どうしても彼の復活が信じられなかった。二人の告白の物語は、生身の人間が“神秘”にどう立ち向かうかを描いていく。そして、ピラトの心境は死体のゆくえを追ううちに変化し、癒されていく。臨場感あふれ、心地よい読後感が残る小説。エル読者大賞受賞作。
著者等紹介
シュミット,エリック=エマニュエル[シュミット,エリックエマニュエル][Schmitt,Eric‐Emmanuel]
1960年フランス・リヨン生まれ。劇作家、作家。パリ高等師範学校卒。哲学教授資格をもつ。無神論者の家庭に育ったが、カントやデカルトに触れるうちに神への関心が高まり、聖書や関連図書を読みあさる。劇作家としての評価は高く、数々の賞を受賞している。「愛は謎の変奏曲」は日本をふくめ世界各国で上演された。二作目の小説『イエスの復活』で、エル読者大賞を受賞
阪田由美子[サカタユミコ]
1958年生まれ。慶応義塾大学仏文科卒。翻訳者
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感想・レビュー
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YYOSHIDAA
1
ユダが最後にイエスを抱きしめたシーンは涙が止まらない。読めば読むほどイエスキリストがすきになる。ピラトの書簡の部分はどうしても興味がわかず、読んでません。その内読めるようになるかな。2013/05/09
aki
1
イエス処刑までのイエスの一人称のプロローグとイエス処刑以後(復活し、昇天するまで)のイエスの足取りを追う総督ピラトの書簡から構成されている(原題は『ピラトによる福音書』)。プロローグはイエスを矮小化しており、気になった。イエスは、もっと巨大だよ。本編の部分はイエス復活の謎に迫るピラトといった、ミステリー仕立てになっていて、結構おもしろい。ユダの再評価は『ユダによる福音書』によったか。ラスト近くのピラトの行動は回心後のパウロそのもの。人物像をつくるにあたってパウロを参考にしたのかもしれない。2012/07/06
一虎
0
イエスのことは知っていても、背景的なことはあまり知りませんでした。しかし、「復活」ということは読んだ後も良くわかりませんでした。イスラエルに行ったことがあることは、文を読むうえで多少なりとも役立ちました。2019/07/01