内容説明
大戦後10年、復興著しい香港では、人口大爆発で300万市民は水飢饉にあえいでいた。給水は4日に1回、4時間…。この惨状を救うべく、香港の“水”をめぐって、日・英・中の人間ドラマが始まった…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
28
あっ、と思われた方、いらっしゃいませんか? これを原作にして、週刊誌連載された少年コミック版を読んだ方がおられるかもしれません。企業小説、そして土木建設がテーマの小説ですが、少年向きコミックとしては、企業小説の部分は難しいから、省略されていたかも。巨大なプロジェクトが進む中では、小さなエピソードとも言える、殉職する日本人技師と中国人女性・何麗芬とのロマンスが、戦争の傷跡も含めた悲しさをかきたて、全体を通すもうひとつのテーマとなっています。歴史や政治の生んだ、人々のあつれきや思いを、ひときわ強く感じました。2015/06/14
がんぞ
2
水道事業の完成間近に主人公が殉職というあまりに劇的な結末だが、日本側事業完工の翌々年に早くも毎日新聞に連載され当時は一部の現地在住を除き実名だった/企業名も主人公の所属する「西桜建設」、「熊井建設」「紅角商事」/日本敗戦時の人口60万、自由を求めて人口は急増し…56年には261万人。水道能力が不足し4時間給水が日常…/黒部ダム完成の実績を引っさげて、九龍半島山中にロックフィルダムを作り海底パイプで香港島に引く。さらに別島の湾の一つを封鎖し淡水湖水源にする壮大な計画/中国も深センから送水パイプ人海戦術で速成2022/08/30
SAYURI
1
書かれたのがかなり古くて、1966年から毎日新聞に連載されたものだそうです。 この本自体は1991年に出版され、NHKでもドラマ化されています。奥田瑛二とマギー・チャン(張蔓玉)だったかな? 水不足が懸念されていた当時の香港で、いかに水を手に入れるか。戦後の日本が請け負う初めての海外工事への進出に、会社も社員も真剣に取り組んでいく。 日本が元気を取り戻し、活力をみなぎらせる序章の時期の、実話をもとにした物語です。主人公たちは悲しい結末なのですが、社会的には明るい未来が約束されているので、読み終わった後もス
saba
0
あの暑い香港で、いや今の日本も大概だが、いやそうじゃなくて人の生きる社会で四日に一回4時間のみの給水……やば過ぎる。これは急務過ぎるぜ。人類頑張ったよ。でもカラビナ!カラビナ付けてくれ!!それはともかく昔の新聞小説ってこんな感じだったんだな。ずいぶん経ってからドラマ化されたようだが、マギー・チャンはドンピシャだ。 2024/09/02