内容説明
第2次世界大戦後、石油をめぐる主舞台は中東に移った。民族主義の台頭による石油国有化、数次にわたる石油ショックは、石油まみれの現代文明を根底から揺るがせた。われわれはついに、石油の軛から逃れられないのか。激動する中東の石油地帯・石油まみれの現代文明。戦争の裏側にはいつも石油があった。
目次
第4部 炭化水素の時代(産油国の反乱、利益折半の要求;イランの石油闘争;スエズ危機;巨象;OPECと生産調整;炭化水素人間)
第5部 世界を支配するもの(産油国の挑戦;武器としての石油;“生命を賭けた買いあさり”;OPECの絶対主権;危機への順応;第2の衝撃―大混乱;「アメリカ大使館占拠さる」;石油は戦略商品か、単なる商品か?;発汗療法―「それはどこまで下がるか?」)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
57
「第2次世界大戦後、石油をめぐる主舞台は中東に移った。民族主義の台頭による石油国有化、数次にわたる石油ショックは、石油まみれの現代文明を根底から揺るがせた。われわれはついに、石油の軛から逃れられないのか。激動する中東の石油地帯・石油まみれの現代文明。戦争の裏側にはいつも石油があった。」
Shin
22
下巻は主に戦後の国際石油市場の支配権を巡る国家、企業、そして個人の欲望のぶつかり合いとして描かれる。巨視的に見れば、石油の黎明期に「利権」として国際石油会社に与えられたものを産油国が国有化するところが分水嶺であり、その後は消費国と産油国、産油国同士が取り分(経済的レント)を掛け金とした政治ゲーム(戦争やクーデターを含む)を繰り広げてきたことが分かる。エピローグにある「危機は予見されているものの、不意に襲ってくる」は今もなお真であり、エネルギー地政学のくびきは決して弛んではいない。2022/01/23
まっと
15
少し思うところあり、20年ぶりに再読してみた。前回は途中くじけそうになりながら、だったが、今回は少し腰を据えて。今読んでみても今の時代に直結する部分もあり、何よりもオイルマネーの凄まじさ、学校の歴史の授業では到底学べない個々のネームの「物語」は読んでいてもやはり面白い。まだ深く入り込めていない感は残っており、次回再読は退職後かなぁ。2022/10/03
KAZOO
5
下巻は戦後の話になっています。今までは先進国にうまい汁を吸われ通津k帝田中東諸国が、武器としての石油を使いながら力をつけていくありさまが描かれています。この著者の筆力というものを非常に感じさせてくれた上下巻でした。OPECができるまでの石油関連の歴史書はこれ以上のものはないと思います。2013/08/13
人生ゴルディアス
3
ほぼ一年間積読。ヤーギン先生石油講座。戦前の話は皆名前くらいは知ってる財閥が大抵石油で財を成していることに一攫千金の夢があったのだなあとわくわくし、下巻に当たる戦後は国家間とメジャーの泥臭い冷戦期的なあるいは石油版グレートゲームを楽しんだ。原油高で居丈高になったイランのシャーの高転びや、OPECの権威失墜など、栄枯盛衰で楽しめる。中東の歴史のお勉強にもなりました。シェール・オイルって昔から目をつけられてはいたけれど・・・というものだったのね。あと、本書の中での日本の扱いが大国っぽいところに時代を感じる2016/06/13
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