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内容説明
激動の昭和史、最大の謎といわれる二・二六事件の闇に包まれていた全貌を明かす新資料が発見された。特設軍法会議の主席検察官が自宅へ持ち帰り、終戦後も秘蔵していた膨大な文書、手びかえであり、陸軍首脳が戒厳令施行を利用して企んでいた別なる二・二六事件とその陰蔽工作を示すものであった。青年将校らは処刑され軍首脳の陰謀は闇に包まれたが、検察官の執念は52年の歳月を超え事件の真相を現代に甦らした。戦後最大の第1級資料の発掘により昭和史を揺るがす衝撃的な新事実が明らかになった。事件の全貌を描く鮮烈なノンフィクション。
目次
1 封印されてきた闇
2 急報
3 宮中からの「告示」
4 山下奉文と村上啓作
5 長い一日
6 奉勅命令の行方
7 軍法
8 最後の声
9 処刑前後
10 敗れ去るもの
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
36
二・二六事件の検察官が遺した、いわゆる「匂坂資料」を読み解き、陸軍の首脳部の不可解な行動の謎を解いていく。約80年前の日本には、現在からは想像もつかない行動原理で動いていた集団があった。それが軍隊という存在である。事件の詳細は一般には知らされず、真相は闇に葬られていった。「匂坂資料」は闇に光を当て、当事者の生の声と歴史の教訓を語る。2015/11/30
みも
29
2・26事件を紐解く高次の資料と言える。本事件の概要を十分に理解している事が大前提。本事件で主席検察官を務めた匂坂春平が、克明に記録した膨大な軍法会議の裁判資料を遺していたが、1987年公表され、それを受けて書かれた本書。時系列に沿って丹念に慎重に書かれており、硬質すぎて面白みは無かった。研究者向けの書籍だろう。「最後の声」と題された章に載せられた処刑前の青年将校達の生の声は胸を打つ。高潔な志を叛乱として断罪される無念が澱のように沈殿し、恥辱の中での死を嘆きつつも、尚、憂国の思いに心を焦がす姿が痛々しい。2016/09/29
鐵太郎
18
2.26事件とはなんだったのか、というテーマで歴史を掘り返す試みの一つ。天皇を擁する「正しい」国家を作り上げようと考え、昭和天皇自身の激怒などにより潰えた一部青年将校たちの突発的なクーデター、とされていたこの事件の影の闇を、陸軍法務官でありこの事件の軍法会議の首席検察官を務めた匂坂春平の、奇跡的に残った手記によって描き出したもの。匂坂法務官は、生前、戦後数年経っても自分がこの資料を整理して公開する意志はなかったそうな。これによって浮かび上がった歴史の新たな事実と、陸軍が隠蔽したかったものとは。2020/01/15
TakaUP48
7
2.26事件の貴重な資料を見つけ、大量な資料を莫大な時間をかけて分析して書かれたというのだが、登場する人物(そりゃそうだ)が多くて頭の整理がつかず、少読秒睡。しかも、結論が明確に読み取れなく(推論でも良いのだが)、結局何が言いたかったのか?陸軍上層部のクーデター失敗を若手指揮官達に押しつけたということ?NHKドキュメントの「2.26事件 消された真実」を見て、どうにかスッキリした。2014/11/15
篠田@書店員復帰を目指し中!
4
わかりやすく二二六事件について書いてるので勉強になった。2013/01/22