内容説明
二〇〇一年、イスラム原理主義勢力タリバーンによって破壊されたアフガニスタンのバーミヤーンは、人類の遺産というべき仏教遺跡だった。二大仏が聳え立ち、摩崖には無数の僧房窟や坐仏窟が穿たれており、玄奘も、この地を訪れ、「大唐西域記」にもその記述がある仏教文化繁栄の都だった。仏龕の天井や側壁に描かれた図像は、西はイラン・ササン朝の文化、東はインド・グプタ朝美術、南北は中央アジアの遊牧民の文化の影響をうけ、その流れは、中国を通じて遠く日本に至るという。本書は、仏教美術史研究者である著者が、一九六九年からの数次にわたる現地調査の成果をまとめた記録である。
目次
古代遺跡の宝庫―アフガニスタン
バーミヤーンへの道
ヒンドゥークシュを越えて―バーミヤーンの学術調査と研究史
釈迦大仏と弥勒大仏―東西の二大仏
天翔ける太陽神―東大仏の天井壁画
天上の彼岸世界―西大仏の天井壁画
バーミヤーン石窟の特徴と構造
弥勒菩薩と飛天と千仏―坐仏の壁画
多彩な絵画様式―石窟壁画の展開
カクラクとフォラディの仏教石窟
東西文科交流のなかのバーミヤーン―装飾モティーフの比較を通して
バーミヤーンの仏教世界―弥勒菩薩と千仏と涅槃図
むすび―バーミヤーンから日本へ
著者等紹介
宮治昭[ミヤジアキラ]
1945年、静岡県沼津市に生まれる。1968年、名古屋大学文学部(美学美術史)卒業。1972年、同大学大学院博士課程中退。現在、名古屋大学大学院文学研究科教授、文学博士。専攻はインド・中央アジア美術史、仏教美術史
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