内容説明
ある者はマリアに処女懐胎を伝えに、ある者は人間の守護を司り、西洋絵画に繰り返し登場する天使たち。天上的な色彩に包まれ、細緻可憐に描かれる彼らの原点を辿って、天使の世紀・ルネサンスを天使の描かれ方から捉えなおす。フラ・アンジェリコとフラ・フィリッポ・リッピの作品を中心として、古代遺跡のレリーフからレオナルド・ダ・ヴィンチの天使まで、聖なる存在から人間的な天使へ変容する過程に市民たちによる時代精神の発露を見る。いま、ルネサンス絵画の見方が新しくなる。
目次
1章 天使とは
2章 天使像の形成
3章 天使像の変遷
4章 天使の画家フラ・アンジェリコ
5章 斬新と綺想―フラ・フィリッポ・リッピの天使たち
6章 天使ガブリエルとガリラヤの乙女マリア―「受胎告知」をめぐって
7章 聖母マリア―母なるものの永遠なイメージ
8章 その後の天使たち