内容説明
18世紀から19世紀にかけて、アムール川下流域と樺太で、サンタン人をはじめとするこの地の先住民族たちが、中国や日本を相手として絹と毛皮を中心にした交易活動を行っていた。彼らは大国に搾取されるどころか、文明人の二大商品への欲望を逆手にとり、したたかに生きていたが、交易の終焉とともに歴史の舞台から姿を消していく。本書は、日本あるいは中国の辺境史の一つとして描くのではなく、サンタン人自身を歴史の主人公として捉え、従来「原始民族」「自然民族」というレッテルのみを貼られてきた彼らの活動のダイナミズムを、歴史の流れのなかから掘り起こす。
目次
序章 絹と毛皮の交易
第1章 サンタン人とサンタン交易
第2章 サンタン交易前史―古代~一七世紀
第3章 露清紛争とアムールの人々―悪魔と呼ばれたロシア人
第4章 清朝の統治体制と辺民社会―親密だった貢納民と官吏たち
第5章 江戸幕府の樺太政策と民族関係―幕府の公認を得たサンタン交易
第6章 絹と毛皮の商品価値
第7章 交易の終焉
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