内容説明
砂漠化・旱魃・飢餓そして難民。アフリカからの情報は、今なお、切実だ。しかし、“飢える大陸”の現象だけを追い、単に品物を送りつけるだけの善意の表明では、安易に過ぎよう。一体、私たちは、アフリカに生きる人びとの心を、彼らの文化を、どれだけ知っているだろうか。本書は、サハラ砂漠周縁のサヘルと呼ばれる半乾燥地域、セネガル・ジョロフ地方のフルベ族社会の人びとと、同じ時代に生きる人間どうしとしてかかわり続けた気鋭の民族学者が、知られざる牧民たちの輝ける文化、躍動する生きざまをいきいきと伝える。
目次
序 サハラ砂漠を越えて
1 フルベ族との出会い
2 バオバブの樹の下で―フルベの村の生活
3 フルベ族の民話から
4 フルベをとりまく隣人たち
5 牛とともに生きる
6 名前は記録する―牧畜民の個人主義と命名法
7 サバンナの誇り高き男たち
8 赤ちゃんをいかに誉めるか、または民俗的思考の世界
9 ヨバイ、略奪婚、一夫多妻
10 結婚の宴に